ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

雑記

変化に盲目

前回の記事の意図は、バイアス自体は善でも悪でもなく、バイアスすらも適切にTPO で論理に組み込んで有効活用できるのが人間の柔軟性であり、創造性であるということである。よく、バイアスをまるで邪悪な罠であるかのように、その暗黒面しか言わない人がい…

対称性バイアス

前回の記事「古論理」を書いてから、この辺りのことを調べていたら、すごく奥が深いし拡がりもあることがわかった。だけど、いくらノリが悪いといっても、西田幾多郎とか、中村雄二郎の「述語的世界」とかの哲学をブログに書いてもなあ〜と思って、自粛して…

プルーストとラスキン

真屋和子という方による『プルーストの眼:ラスキンとホイットラーの間で』(1999) という論文をインターネットで読んで、これが境界線を逸脱する話でなんかとても清々しい気分になった。ジョン ・ラスキンがジェームズ・ホイッスラーの絵画『黒と金色のノクタ…

比喩

『映像の修辞学』でロラン・バルトが本当にそのような純粋状態の「意味」が単独にありえるのだろうかと留保をおきながらも仮説として採りあげているように、「比喩」とか「含意」とかといった「意味作用」を考える道筋は 、「字義通りの意味」という概念を出…

ブヴァールとペキュシェ

前の記事で、「主題」はネットワーク (「網目」とか「磁場」とかともいう) の非線形性である増幅作用を通じた類似や反復にもとづく意味作用によって、希薄で多様で移ろいやすい「意味」をようやく開示すると書いたが、その同じ仕掛け=装置へ「主題」のかわり…

映像の修辞学

この「パンザーニの広告」の画像は懐かしいので取り上げてみることにした。1980 年に朝日出版社から出た『映像の修辞学』(ロラン・バルト著、蓮實重彦・杉本紀子訳) に所収された論文「イメージの修辞学 パンザーニの広告について」で分析されている広告写真…

情報の貧困

インターネットにはありとあらゆる情報があるというのは、もちろん嘘だと思う。「情報の洪水」などという言葉は幻想である。こと映画に限ってみても、作品の題名を検索すると往々にして一番上位にでてくる Wikipedia の記事をあまり気乗りはしないが読んで感…

ブログのリニューアル

すでにお気づきでしょうが、ブログリニューアルしました。なんでそんな気になったかというと、そもそも年金二千万円問題が話題になっていた頃、ふと「アフィリエイトに走る高齢者」という鮮やかなイメージが脳内をよぎり、それから冷静に考えて現在の銀行の…

ファクトフルネス

通勤電車の中で、学生さんがすごく熱心に本を読んでいるので、いったい何を読んでいるのだろうと思ったら、ベストセラーになった『ファクトフルネス』である。これだけフェイク・ニュースやネガティブ・ニュースやヘイト記事や歴史修正記事が世の中に溢れて…

落下傘は開いた

米大統領の宮中晩餐会での「おことば」を読んでいると、 私自身の貴国との最初の思い出は、1970 年の大阪万博であり、(中略) チャールズ・リンドバーグ飛行士に、水上飛行機シリウス号の操縦席に乗せていただいたことを、今でも鮮明に覚えています。 という…

思い出の曲

若者が、実際に生まれてもいない 1960 年代をなぜ懐かしむのかを不思議に思う人の方が僕には余程不思議である。自分だって生まれてもいない時代の映画や音楽が好きである。逆にこの後期資本主義の時代に最新の流行を次から次へと追いかけて消費していくスタ…

パーソナル・ソング

数年前のサンダンス映画祭で話題となったドキュメンタリー映画『パーソナル・ソング』(Alive Inside, 2014) でも紹介されていたが、認知症の症状の緩和に音楽が用いられている。それがどこまで効果があるのか寡聞にして知らないが、人にとって特定の音楽 (パ…

情欲の悪魔

ドリス・デイ追悼で『情欲の悪魔』(1955) を見る。正直、ルース・エティングはそれほど好きな歌手ではないけれど Rodgers & Hart が作った、10 セントのチケットで男性客のダンスの相手を一晩中する踊り子を描いた切ない "Ten Cents a Dance" は好きで、この…

昭和の港町

淡谷のり子の『別れのブルース』(1937) を思い出すまでもなく、昭和の唄を港町の存在抜きで語ることは、平成を原発事故抜きで語ることと同じように単なる抽象に過ぎないような気がする。※ なお戦前のマドロス歌謡を代表するのは次の三曲といわれることがある…

中井正一の母

中井正一の母、千代 (広島出身) は正一を 1900 年 2 月 14 日に大阪の病院で帝王切開によって産んでいる。この当時、帝王切開による出産はまだ一般的ではなく、日本最初とまではいわずとも、施術例としてはほとんど前例がなく母子の安全は大きなリスクがある…

思い出したこと

ゴダールの映画を見ると、どうしてもゴダールの映画を一番見ていた八十年代の記憶が蘇えってこようとする。しばらく経ってから、神代辰巳監督の『少女娼婦 けものみち』 (1980) で何度も歌われていた新井英一の「カラス」を波が圧倒的な力で迫ってくる海辺の…

鉄砲玉の美学 / 五本の指

今日は、バングラデシュのラナプラザが 2013 年に崩壊して、千人以上の犠牲者を出した日であり、最近は「ファッション・レボリューション・デー 」と呼ばれている。クリント・イーストウッド、中島貞夫、ジャン・リュック・ゴダールの新作を一ヶ月ちょっとで…

1967 年

前回の記事に 1967 年の前後のことを書いたが、『ルパン三世』の漫画アクションの連載開始は 1967 年であることを知った。ちばてつやの『あしたのジョー』が少年マガジンに連載開始されたのは、1967 年12 月だから、ほぼ同じ時期である。1967 年は、戦後すぐ…

米 (2)

岩瀬彰さんの『「月給 100 円サラリーマン」の時代』という大変面白い本を読んでいたら、1929 年 (昭和 4 年) 、日本人は、月 15 キロ以上、つまり年間 180 キロ以上、米を食べていたとある。いまの日本は年間 50 キロ強である。バングラデシュは 2011 年の…

日本の米の一人当たりの消費量は、1962 年を戦後のピークに下がり続けて半分以下になり、2016 年にやっと少し消費が前年より増えたというニュースが流れたものの、一時的なものに過ぎず、その後も下がり続けているようだ。確か一人あたりの米の消費量の国別…

ペンネンネンネンネン・ネネム

まったく気がつかなかったんだけれど、二年以上前に東中野で二回見た小森はるか監督の『息の跡』(2016) が DVD で発売されていた。映画の中で『夜来香』を歌っていた佐藤さんがギター演奏をする特典映像が付いているらしい。早速、購入する。それで、小森さ…

安全基地

8 歳になった飼犬が左後肢の前十字靭帯を断裂してしまって、いろいろなリスクを考えて悩みつつも、結局手術をしてもらった。絶対安静な疾病ではないし、知らない場所にずっと放って置かれることのネガティブ傾向のストレスが少しでも緩和できればと、毎日、…

I’m Gonna Knock on Your Door

この Eddie Hodges の 1961 年の曲を聴いていて、不図、これを「訪問型健診サービス」のテーマ曲に使ったらと思いついたのだが、1980 年代にオーストラリアで赤十字が寄付を呼びかける際に使ったことがすでにあるらしい。この前、バングラデシュに行ったばか…

Love Letters in the Sand

これって パット・ブーンの曲かと思いきや、1931 年にできた歌なんだ! しかも、1881 年の "The Spanish Cavalier" がこの曲のベースになっているというのだから吃驚する。 "The Spanish Cavalier" は、フォード映画でお馴染みの The Sons of the Pioneers が…

確率共鳴

「確率共鳴 (stochastic resonance)」というのはバックグラウンドに適切なレベルのノイズがあると、低コントラストの画像などがかえって検出しやすくなる非線形の現象をいう。 アナログのレコードが未だに好きな人が多いのは、適度なノイズがかえって音を聴…

Forgive Me

森山良子ではなく、森山加代子の『じんじろげ』の元歌はインド民謡の『ヒラミルパニア』という曲だという説があるが、歌詞の中にベンガルという言葉が出てくるので、ベンガル地方の歌らしい。今度、バングラデシュに行ったら知っているか聞いてみよう。知ら…

カート・シオドマーク

今日は JR 四ツ谷駅の近くの純喫茶に入ってなかなか良かったけれど、音楽がほとんどビートルズだけなのには参った。“Please Mr. Postman” 流すなら 1961 年の The Marvelettes のものにして欲しかった。それにしても凄い髪型。 前回の記事で『日曜日の人々』…

珈琲あるいは喫茶店

タイトルに「コーヒー」または「喫茶店」がつく日本の曲ってやっぱりあまり思いつかない。コーヒーに関しては『コーヒー・ルンバ』、喫茶店に関しては『小さな喫茶店』が決定版だなあ。こうして見ると中野忠晴はやはり偉大だ。また気づいたら、ここに追加し…

Una Sera di Tokyo

この曲、最初は、1963 年に『東京たそがれ』というタイトルでザ・ピーナッツによって唄われリリースされた (作詞:岩谷時子、作曲:宮川泰)。 1964 年 (東京オリンピックの年) に、イタリアからミルバが来日し、この曲のタイトルを『ウナ・セラ・ディ東京』と…

Mugmates

この曲の題名、”Mugmates“ の mug は「マグ・カップ」(日本語英語であり、英語では単に mug で良い) のことだけど、この「マグ・カップ」という言葉っていつ頃から使われはじめたのか、ちょっと気になってざっと調べたんだけどよく分からなかった。少なくと…