ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

竹取物語 (8)

たゝとねり二人めしつれとしてやつれ
たまひて難波の邊におはしまして
とひ給ふ事は大伴の大納言の人や舟に
のりてたつころしてそかくひのたま
とれるとや聞ととはするに舟人こたへて
いはくあやしき事かなとわらひてさる
わさする船もなしとこたふるにをちな
なき事する舟人にもあるかなえしらて
かくいふとおほしてわか弓の力はたつあらは
ふといころしてくひの玉はとりてんをそ
らくはくるやつはらをまたしとの給ひて
舟にのりて海ことにありき給ふにいと
とをくてつくしの方の海にこき出給ふ
いかゝしけんはやき風吹世界くらかりて
舟を海中にふきもてありくいつれの
方ともしらす海中にまかり入ぬへくふき
まはして波は船にうちかけつゝまき入
神は落かゝるやうにひらめきかゝるに
大納言はまとひてまたかゝるわひしき

めみすいかならんとするそとの給ふかち取
こたへて申こゝら舟にのりてまかりありく
にまたかゝるわひしきめをみすみ舟
うみのそこにいらすは神おちかかりぬ
へしさいはひ神のたすけあらは南
海にふかれおはしぬへしうたて有主の
みもとにつかうまつりてすゝろなるしに
をすへかめるかなと梶取なく大納言これを
聞ての給はくふねにのりてはかちとり
の申事をこそ高き山とたのめなとかく
たのもしけなく申そとあをへとをつ
きての給ふかち取こたへて申神ならねは
何わさをかつかうまつらん風ふき波はけ
しけれとも神さへいたゝきにおちかゝ
るやうなるは龍をころさんともとめ給へは
あるなりはやてもりうのふかするなりはや

神にいのり給へといふ能事なりとてかち
取の御神きこしめせ音なく心をさなく
たつをころさんとおもひたりいまよりの
ちは毛一すちをたにうこかし奉らし
とよことをはなちて立ゐなく〳〵よはひ
給ふ事千度はかり申給ふけにやあらん
やう〳〵神なりやみぬ少ひかりて風はなを
はやく吹梶取のいはく是は龍のしわさ
にこそ有けれ此ふく風はよき方の風なり
あしき方の風にはあらす能かたに趣て
ふくなりといへとも大納言はこれを聞入
給はす三四日ふきてふき返しよせ
たりはまを
みれははりまの
あかしの
はまなり
けり