ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

竹取物語 (7)

世の人々あへの大臣火ねすみのかは衣
をもていましてかくやひめにすみ給ふと
なこゝにやいますなととふある人のいふか
はは火にくへてやきたりしかはめら〳〵
とやけにしかはかくやひめあひ給はすと
いひけれはこれを聞てそとけなきものを
あへなしといふ大伴のみゆきの大納言
はたつのくひに五色のひかりある玉あな
りそれを取て奉りたらん人にはねかはん事
をかなへんとのたまふをのことも仰の事
を承て申さく仰の事はいともとう
とし但この玉たやすくえとらしをいはん
やたつのくひの玉はいかゝいはんものは命
をすてゝもをのか天のつかひとをのか君
のおほせ事をはかなへんと思へけれ此國
になきてんちくもろこしの物にもあらす
此國の海山よりたつはをりのほる物なりいかに
おもひてかなんちらかたき物と申へきを
のことも申やうさらはいかゝはせんかたき

ものなれとも仰事にしたかひてもとめに
まからんと申に大納言見わらひてなんち
らか君の使と名をなかしつ君の仰事を
はいかゝはそむくへきとの給ふたつのくひ
の玉とりにとて出したて給ふ此人々の
道のかてそくひものに殿の内のきぬ
わたせになとあるかきり取出して我はを
らん此玉とりえては家にかへりくなとの給
ふたつのくひの玉とりえすはふたゝひ此家
にかへりくなと仰られたりをの〳〵仰うけ
たまはりてまかりぬ龍の首のたま取えすは
帰りくなとの給へはいつちも〳〵あしの
むきたらんかたへいなんはかゝるすき事

をし給ふ事とそしりあへり給はせたる
物をの〳〵わけつゝ取あるひはをのか家に
こもり居或はをのかゆかまほしき所へ
いぬ親君と申ともかくつきなき事を
おほせ給ふ事とことゆかぬ物ゆへ大納言
をそしりあひたりかくやひめすへん
にはれいやうには見にくしとのたまひて
うるはしき家をつくり給ひてうるし
をぬりまき絵して壁し給ひてやの上
にはいとをそめて色々ふかせてうち〳〵の
しつらひにはいふへくもあらぬあやをり
物にゑをかきてまことはりたりもとの
めともはかくやひめをかならすあはんまう
けしてひとりあかしくらし給ひつかはしゝ
人はよるひるまちたまふに年こゆる
待てをともせす心もとなかりていと
しのひて