ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

五重塔

露伴の『五重塔』を久しぶりに読み返して、なぜこの作品はこうまで読みやすいのだろうと考えこんでしまった。目に入る漢字とそれを訓む音の響きの結合が絶妙なためだろうか。下に挙げた出だしのところの、語りが嘘のような滑らかさで青黛眉の女の独白へ移行…

文字詞

ロバート・キャンベル編の『Jブンガク』に出てくる『薄雪物語』の一節を読んでから、いつか全部読みたいと思っている。ここに出てくる文字詞は、御はもじ(さ): 恥ずかしい(こと) 御いもじ(さ): いとしい(こと) 御ゆもじ: ゆかしいこと そもじ様: 其方様 御見…

金剛石

蓮實重彦の『反=日本語論』を読んだ者ならば、だれもが覚えているだろう一節。それは、藤枝静男の短篇『土中の庭』について書かれたものである。 「金剛石も磨かずば/珠の光は添わざらん」の二行を冒頭に持つ御歌を小学校時代に女の先生から習って、地久節の…

千早振る

先代の柳家小さんの落語『千早振る』は何度聞いても可笑しい。柳家小さん(五代目)千早振る(ちはやふる) - YouTube『伊勢物語』にも出てくるこの和歌は、小学校四年の国語に出てくるので、自分も小学生に暗記してもらったことがある。落語を聞いてもらえ…

受動態

古文を読んでわからなくなることがあるのは、受動表現である。 かかれば、この人々、家に帰りて、ものを思ひ、祈りをし、願を立つ。思ひやむべくもあらず。「さりとも、つひに男婚 (あ) はせざらむやは」と思ひて、頼みをかけたり。あながちに心ざしを見え歩…

筒井筒 (2)

よくできていると思うのは、最初の方の女に疑いをもった「をとこ」 が前栽の中に隠れている場面である。ト書きを入れればこうなる。 この女、いとよう假粧じて、うちながめて、(をとこの疑い強くなる)風吹けば 沖つ白浪 たつ……(疑いピークに達する)た山 夜半…

筒井筒

『伊勢物語』の二十三段「筒井筒」は高校教材にも取りあげられているテクストである。最近、本居宣長の『玉勝間』を拾い読みしていたら、五の巻「枯野のすゝき」で、この段にある最初のをとこの歌の 筒井つの 井筒にかけし まろがたけ 過ぎにけらしな 妹見ざ…

陥没地帯 (312)

半角の公式の図形的証明. の内心を , の内側にある傍心を とする. , , とする. また, から, に下ろした垂線の足を , から, の延長に下ろした垂線の足を とする.だから,ここで,から, と は相似である. したがって, , つまり,また, だから, と は相似である. …

陥没地帯 (311)

大正 年の幾何の問題. 左横書きの採用というのは, 数式がある以上, ほぼ必然だったんだということに今更気がついた. ちなみに新聞の見出しが右横書きから左横書きに変わったのは, 戦後のことである.【問】 三角形 ノ重心 ヲ通リテ直線 ヲ引キ二邊 , ト夫々 ,…

陥没地帯 (310)

年, 京大文系の問題. この問題のように垂心とか, 外心とかを位置ベクトルで表せという問題をよく見かける. 表わすのはよいが, そうするといったい何がうれしいのだろう. 【問】 において, , , とする. の垂心を とするとき, を と を用いて表わせ.【解】平面…