ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

久松留守

いつものことといえばいつものことなので、別に驚くべきことでもなんでもないが、「コロナ」というときならぬ流行を示している単語に感染した記事は、当然ながら面白いものが非常に少ない。しかし、「久松留守」に触れてくれたものが二つほどあった。ただ、…

自分が住んでいる町内には、1940 年から 1980 年ぐらいまで唐木順三が住んでいたらしい。なぜか急行が停まる最寄りの小田急線駅の、東口前にある案内看板にはそう記載されている—— 1940 年に古田晃によって創業された筑摩書房に唐木は臼井吉見、中村光夫とと…

I Ain’t Got Nothing But the Blues

“ I Ain’t Got Nothing But the Blues” の作曲はデューク・エリントンで下の演奏は1944年の録音だと思う。Duke Ellington - I Ain't Got Nothing But The Blues歌っている男性歌手は盲目のアル・ヒブラー。もちろん、20 世紀を代表するといってよいポピュラ…

おまえは歌うな おまえは赤ままの花やとんぼの羽根を歌うな風のささやきや女の髪の毛の匂いを歌うなすべてのひよわなものすべてのうそうそとしたものすべてのものうげなものを撥(はじ)き去れすべての風情を擯席(ひんせき)せよ もっぱら正直のところを 腹…

The Boy in the Boat

近所の散歩ばかりだと飽きるので、土曜日は平塚から橋を歩いて相模川を渡って茅ヶ崎まで散歩した。白い富士山が綺麗であった。歩きながら聞いた演奏に Charlie Johnson 楽団の “The Boy in the Boat” があった。Jimmy Harrison (トロンボーン) とSidney De P…

対談

中野重治を論じたものについては、柄谷行人と大江健三郎の対話(『大江健三郎柄谷行人全対話 世界と日本と日本人』)が抜群に面白かった。ポストモダンなんて軽薄な言葉は中野重治にはまったく似合わないけど、中野重治によってポストモダンというのは、ようや…

梨の花 (2)

志賀直哉の『暗夜行路』にある「サモア」と「アルマ」の無償の運動にはやや劣ると思うが、中野重治の『梨の花』の冒頭にある広告看板を主題連携させるところは面白い。小学生になった良平が、町の高瀬屋(酒屋であることが後の文章からわかる)から一升徳利を…

浦島太郎

中野重治が23歳、1925年 (大正14年) の詩に「浦島太郎」というのがある。 今宵は雨がふってついそこの家ではまた蓄音器をはじめた童女がはかなげな声をはりあげて「浦島太郎」をうたうのだ浦島太郎は亀にのり……乙姫様のお気に入り……しらがのじじいとなりにけ…

梨の花

現在の日本において普通にできるもっとも豊かな体験とはなにか?まさか、それがネット検索であろうはずもない。それをひとつだけ具体的に提示するならば、中野重治の『梨の花』を読むことだろう。もちろん、ここで「読む」とは、あの次に何が起きるかをさも…

レモン石鹸

インフォデミックを助長するような記事で申し訳ないが、新型だろうがそうでなかろうが感染症予防の基本として高度なエビデンスが存在しているのは手洗いであり、統計データはともかく、そんなこと小学生のときに習わなかったのかなあと思っていたら、バング…