ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

竹取物語 (14)

かくやひめみれはせけんこゝろほそく
あはれに侍るなてうものをかなけき侍る
へきといふかくやひめのあるところにいたり
て見れはなをものおもへるけしきなり
それを見て有佛なに事思ひ給ふそお
ほすらん事なにことそといへはおもふ事も
なしものなん心そくおほゆるといへはおき
な月な見給ふそこれをみ給へは物おほす
けしきはあるそといへはいかて月をみては
あらんとてなを月出れは出居つゝなけき
おもへり夕やみには物おもはぬけしきなり
月のほとになりぬれはなを時ゝはうちな
けきなきなとすこれを使ふものとも
なをものおほす事あるへしとさゝやけと
おやをはしめて何事ともしらす八月
十五日はかりの月に出居てかくやひめい
といたくなき給ふ人目もいまはつゝみ
たまはすなき給ふこれを見ておやともゝ

何事そととひさはくかくや姫なく〳〵
いふ先々も申さんとおもひしかとも
いまかならす心まとはし給はんものそと
おもひていままて過し侍りつるなり
さのみやはとて打出侍りぬるそをのか身
は此國の人にもあらすつきのみやこ
の人なりそれをなんむかしのちきり
ありけるによりなん此世界にはまうて
きたりけるによりいまはかへるへきに成に
けれは此月の十五日にかのもとの國より
むかへに人々まうてこんすさらすまかり
ぬへけれはおほしなけかんかかなしき
事を此春よりおもひなけき侍るなり
といひていとしくなくをきなこはな
てうし事をのたまふそ竹の中より
みつけきこえたりしかとなたねの
大きさをおはせしをわかたけたちな
らふまてやしなひ奉りたるわか子を
何人かむかへ聞えんまさにゆるさんや
いひて我こそしなめとてのゝし
る事いとたへかたけなり