ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

ハワード・ホークス

陥没地帯 (122)

『ジョン・フォード論』の第一章-lll-3 「歌が歌われ、踊りが踊られるとき」を読んでいると『アパッチ砦』(Fort Apache, 1948) で “Oh, Genevieve” が歌われているところが出てきた。歌っているのは、ディック ・フォーランで、ジョン・ウェイン、アンナ・リ…

陥没地帯 (65)

今月の「文學界」は面白いなあ。もちろん購入動機は『スパイの妻』(2020) について 8 月 24 日に行われたとある蓮實重彥、黒沢清、濱口竜介の鼎談をゆっくり読みたかったからである。このブログでも蓮實さんが生まれた 1936 年のことはいろいろ取り上げてい…

リオ・ブラボー

1959 年のハワード・ホークス監督作品。原題は、“Rio Bravo”。クェンティン・タランティーノ監督が女性と付き合うにあたっては、まず『リオ・ブラボー』が好きであるかどうかをさりげなく確認し、もし相手が好きでなさそうだったらそれ以上の付き合いは遠慮…

引き裂かれたカーテン

「フラバー」の記事のところで女優アンナ・リーの名前が出てきたが、日本語の Wikipedia の「アンナ・リー」(Anna Lee) の項目を見ると、彼女がアルフレッド・ヒッチコック監督の『引き裂かれたカーテン』(Torn Curtain, 1966) に出演していることになってい…

寝ても覚めても (2)

今月号の文芸誌「新潮」に蓮實さんが「選ぶことの過酷さについて —濱口竜介監督『寝ても覚めても』論」を発表している。蓮實さんがここまで擁護し煽動するのも久しぶりのような気がする。止むに止まれない理由で未だ映画を見ていない人もいるかもしれないの…

Twilight Time

日本に帰ってくると暑いのなんのって。バングラデシュの方がましだった。まるで『寝ても覚めても』(2018) の公開日にあわせて帰ってきたようだけど、それは違うぞ。見る前に余計なものは読まないようにしているが、東出昌大が一人二役らしい。ヒッチコックの…

Aura Lee

“Love Me Tender” の元歌である “Aura Lee” は南北戦争の頃の歌らしいけど、これも良いなあ。 上の Eddie Albert の歌唱の歌詞を下に挙げておく。 As the blackbird in the spring,‘Neath the willow tree,Sat and piped, I heard him sing,Singing Aura Lee…

Diamonds Are a Girl’s Best Friend

ハワード・ホークス監督の『紳士は金髪がお好き』(Gentlemen Prefer Blondes, 1953) では、Marilyn Monroe によって “Diamonds Are a Girl's Best Friend” という非常に有名な曲が歌われる。 The French are glad to die for loveThey delight in fighting d…

Swanee River

フォスターの曲として日本でも古くから親しまれた曲であるが、映画としては、ハワード・ホークス監督の『ハタリ!』( Hatari !, 1962) でのジャム・セッションを思い出させる。改めてみると最初のエルザ・マルティネッリがピアノを引き継ぐところは『コンド…

Am I Blue

この曲はハワード・ホークス監督の『脱出』(To Have and Have not, 1944) で Hoagy Carmichael と Lauren Bacall が歌う素晴らしいシーンを紹介済みである。 エディ・コクランなんかも歌っている。彼の名前が出ると、セルジュ・ゲンズブールが作って、ジェー…

Some of These Days

ハワード・ホークス監督の映画をたびたび取り上げているが、今度は美しい航空映画の一本『コンドル』(Only Angels Have Wings, 1939) でのジーン・アーサーとケーリー・グラントのシーンである。 このクリップの最初で、曲の名前が発言されジーン・アーサー…

Dream a Little Dream of Me

“Dream a Little Dream of Me” は、ドリス・デイが歌う以外ほとんど考えられないのだが、最初にレコーディングされたのは 1931 年で、歌ったのは Ossie Nelson である。つまり、ハワード・ホークス監督の『リオ・ブラボー』(Rio Bravo, 1959)で、ただただ人…

ミミー宮島 お祖父さんの時計

1952 年に来日した初めての有名ジャズマンとして知られるジーン・クルーパであるが、ハワード・ホークス監督の『教授と美女』(Ball of Fire, 1941) で演じられたパフォーマンスは忘れがたい。 ※ ちなみにバーバラ・スタンウイックの歌の吹き替えは、マーサ・…

Hoagy Carmichael

1924年にBix Beiderbecke がいたWolverines 楽団の演奏による “Riverboat Shuffle” がホーギー・カーマイケル作曲の最初の録音である。ホーギー・カーマイケルが最初にビックス・バイダーベックと会ったのは、1922 年頃とされている。 Ethel Waters w/ Ed Ma…

Change Partners

マーク・サンドリッチのアステア=ロジャース映画の五本全部を久しぶりに見直した。 『気儘時代』(Carefree, 1938) は当時全盛を誇っていたスクリューボール・コメディの影響が強い作品で、アステアとロジャーズのダンス・シーンは少ない(4 回)。ジンジャー…

『脱出』のことなど

2014 年の 8 月に 、ローレン・バコールが89 歳でお亡くなりになったときのニューヨーク・タイムズの追悼記事はその後も何度か読んだが、その記事では、彼女の映画デビュー作となった『脱出』のこともよく触れられていると思う。ネルソン・マンデラは言うに…

チョビ髭大将

エドワード・サザーランド監督の『チョビ髭大将』(It's the Old Army Game, 1926) は、それほど面白い作品とは思わないが、W. C. フィールズとルイーズ・ブルックスが共演している映画である。ルイーズ・ブルックスはこの頃なんとまだ二十歳であり、彼女の…

腰抜け二挺拳銃の息子

フランク・タシュリン監督の『腰抜け二挺拳銃の息子』(Son of Paleface, 1952) は、『腰抜け二挺拳銃』(The Paleface, 1948) の続編。1952 年の方はジェーン・ラッセルの泡風呂のシーンがあるのが忘れ難い。下の YouTube のクリップを作った人もその場面を外…

ドロレス・デル・リオについて(7)

ドロレス・デル・リオが出演したハリウッド映画で、比較的簡単に見られる四作品をまとめて紹介しておきたい。 栄光 最初は純粋で高貴とさえいえる活劇を呈示し続けた「不断の運動の人」ラオール・ウォルシュ監督の『栄光』(What Price Glory, 1926)。 無声映…