中納言よろこひ給て万の人にもしらせ
給はてみそかにつかさにいましてをのこ
ともの中にましりてよるをひるにな
してとらしめ給ふくらつ丸かく申を
いといたくよろこひてのたまふこゝにつか
はるゝ人にもなきにねかひをかなふる
事のうれしさとの給ひて御そぬきて
かつけ給ふつさらによさり此つかさに
まうてことの給ふてつかはしつ日暮ぬれは
彼つかさにおはして見給ふに誠つはくらめ
すつくれりくらつまろ申やうおうけて
めくるあらこに人をのほせてつりあけさ
せてつはくらめのすに手をさし入させ
てさくるに物もなしと申に中納言あしく
さくれはなきなりとはらたちてたれ
はかりおほえんにとて我のほりてさくらん
との給ひてこのりてつられのほりて
いたくめくるにひらめる物さはる時に我にき
りたりいまはおろしてよおきなしえたり
との給ひてあつまりてとくおろさんとて
つなをひき過してつなたゆるすなはち
にやしまのかなへのうへにのけさまに
おち給へり人々あさましかりてよりて
かゝへ奉れり御目はしらめにてふし給へ
り人々水をすくひ入奉るからうして
いき出給へるに又かなへのうへより手とり
足とりしてさけおろし奉るからうして
御こゝちはいかゝおほさるゝととへはいきの
下にて物はすこし覚ゆれとこしなん
うこかれぬとこやす貝をふとにきりもた
れはうれしくおほゆるなりまつしそく
して御手をひろけ給へるにつはくらめの
まりを
けるふる
くそをにきり
給へるなり
けり