ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

JLGの死

JLG が亡くなったことについて、彼の作品を完全に見たわけでもない自分に何も言う資格はない。ただ普段と明らかに違っている自分を発見したのは、塾で小学生に国語を教えていて——それは古典の教材だった——その小学生相手にあろうことか古典の大事さをとうとうと JLG を引き合いに出しながら語ってしまったときである。たしか、昨日亡くなった知らせがあった JLG はヌーヴェル・ヴァーグといいながら、昔の映画を浴びるように見てその「新しさ」を作りあげた人なんだ。古典は現在と関係のない「古い」ものではなく、そこにありながら見落とされていた何かを発見することでまったく「新しい」ものに生まれ変わるんだ。古典の大事さは単に伝統を守るということとかではない。それから JLG の映画はもう少し大きくなってからでよいから見るとよいよ、などと口走っていたと思う。

金井美恵子の『柔らかい土をふんで』を読んで 1980 年代に見た映画のことをあれこれ思い出しながら『水の話』『ゴダールの探偵』『アルファヴィル』の三本をついこの間立て続けに見直してしまったことも影響しているかもしれない。