ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

映画

香も高きケンタッキー

ジョン・フォード監督『香も高きケンタッキー』(Kentucky Pride, 1925) が高画質で見られるなんて、これは夢だろうか。ちょうど蓮實重彥の『ショットとは何か』(2022) も出たところなので、この映画のたまに動くことはあっても基本はフィックスされたキャメ…

陥没地帯 (121)

フィルムは現存しているものの、上映機会が限られ、未だに DVD にもなっていない、30 歳を超えたばかりの、しかしすでにベテランの域に達しているジョン・フォードが監督した『香も高きケンタッキー』(Kentucky Pride, 1925) が、たとえ劣化したコピーであろ…

陥没地帯 (120)

ついに、ついに、このジョン・フォード映画が見られる日がきた。『香も高きケンタッキー』(Kentucky Pride, 1925)

陥没地帯 (104)

『見るレッスン』を読むには読んだが、聞き書きで、そのまとめ方はいかにも「新書」で、なんだかねという程度のものである。一般向けの本なんだろう。まあ、それでもうれしかったのは、いままであまり取り上げてくれなかった清水宏監督の『有りがたうさん』(…

陥没地帯 (70)

『スパイの妻』(2020) をどの劇場でみるかはほとんど選択肢があたえられていないのだが、それでも最近は余程のことがないかぎり東京へゆくことだけは避けたいと思う。このところ山道をよく歩きながら道端にある植物の多様さにいちいち驚いているせいもあるが…

いろいろ

アルフレッド・ヒッチコックの『めまい』(1958) の次のシーンは見れば見るほど不思議で、蓮實重彥が「ルプレザンタシオン」(1992 年春 第三号) の「周到さからもれてくるもの ヒッチコック『めまい』の一シーンの分析」でとりあげているシーンでもある。その…

ロリーナ

いろいろと見ても、最近はそのすべての作品について書く気がない。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019) も見たけれどあまり書きたいと思わない。そもそも、タランティーノの映画とは昔からごく曖昧な付き合い方で、最初にタランティーノ…

ペグ・ラセントラ

ポール・スチュワートというと、ジョン・ハウズマンとオーソン・ウェルズが設立した「マーキュリー劇団」に初期から関与していた人物で、『市民ケーン』(1941) やロバート・オルドリッチ監督の『キッスで殺せ!』(1955) などに出演している。そのポール・ス…

若き日のリンカーン

『若き日のリンカーン』(Young Mr. Lincoln, 1939) は、ジョン・フォード監督が『駅馬車』(1939) に続いて撮った作品で、この年のフォードはさらに『モホークの太鼓』(1939) まで演出しているのだから、この 1939 年という年は、二度目の世界大戦が始まった…

虎鮫島脱獄

作品の中でオープニング・タイトルを除けば、鮫は出てくるものの「虎鮫島 (Shark Island)」という単語が口にされることも、文字として表示されることも一切ない、ジョン・フォード監督の『虎鮫島脱獄』(The Prisoner of Shark Island, 1936) を見る。フロリ…

リバティ・バランスを射った男

ジョン・フォード監督の『リバティ・バランスを射った男』(The Man Who Shot Liberty Valance, 1962)。蓮實重彥の初期評論で一番好きな箇所は、この映画で白いエプロンをつけてリバティ・バランス (リー・マーヴィン) と決闘するジェームズ・スチュワートに…

リオ・グランデの砦

このジョン・フォードの美しい『リオ・グランデの砦』(Rio Grande, 1950) は、すでに簡単に取り上げているが、また性懲りもなく書いてしまうことにする。この作品は何十回見ても、見るたびに感動してしまう。メキシコと合衆国の国境となっているリオ・グラン…

太陽は光り輝く

1859 年というから南北戦争前であるが、ダニエル・エメットによって作曲された “Dixie” は、ジョン・フォードの作品でいったい何回使われているのだろうか?『リオ・グランデの砦』(1950) のフィナーレでは、ジョン・ウェインの傍でこの曲にあわせてモーリン…

静かなる男

アーゴシー・ピクチャーズで製作され、リパプリックから配給されたジョン・フォード監督の『静かなる男』(The Quiet Man, 1952) は映画化の構想が実現されるまで、十数年の時を要した作品である。前の記事にも書いたけれど、蓮實さんの批評が好きなところは…

コリーン・ムーア

ウィリアム・A・サイター監督の『踊る青春』(Why Be Good?, 1929) は、もちろんコリーン・ムーア嬢の主演映画だけれども、これを見たのは、前の記事でキング・ヴィダー の 『曠野に叫ぶ』(The Sky Pilot, 1921) に二十歳ちょっと過ぎぐらいのムーア嬢が出演…

キング・ヴィダーの若い頃

植草甚一さんが映画監督であるキング・ヴィダーの生い立ちを書いている文章があって、以前それを要約したことがある。以下それを中心にまとめ直して再掲しておく。キング・ヴィダー (King Vidor) 監督は、1894 年 2 月 8日に合衆国テキサス州のガルベストン…

情報の貧困

インターネットにはありとあらゆる情報があるというのは、もちろん嘘だと思う。「情報の洪水」などという言葉は幻想である。こと映画に限ってみても、作品の題名を検索すると往々にして一番上位にでてくる Wikipedia の記事をあまり気乗りはしないが読んで感…

幌馬車

ジョン・フォード監督『幌馬車』(Wagon Master, 1950)。この RKO 公開作品は、『黄色いリボン』(1949) が大ヒットしたいわばボーナスとして、低予算ながらフォードが好きなように撮影することができた作品である。フォード自身も、自分でストーリーを書いた…

バタフライ・ライティング

マレーネ・デートリッヒへのライティングとして、彼女の出演作品のほとんどを撮影したリー・ガームスが採用したのは、鼻の下にできている黒い影が蝶々のように見えることから名付けられた「バタフライ・ライティング」である。もっとも、実際の撮影はほとん…

リオ・ブラボー

1959 年のハワード・ホークス監督作品。原題は、“Rio Bravo”。クェンティン・タランティーノ監督が女性と付き合うにあたっては、まず『リオ・ブラボー』が好きであるかどうかをさりげなく確認し、もし相手が好きでなさそうだったらそれ以上の付き合いは遠慮…

ボー・ジェスト / 私の殺した男

※ 戦地で中国の少年と 山中貞雄の遺稿 「青空文庫」に山中貞雄監督の遺稿となった従軍記がある。彼の最後の作品となってしまった『人情紙風船』(1937) は、8 月 25 日が封切日にあたる。その当日に山中へ召集令状がきた。同じ年の 10 月 8 日、彼は神戸から…

生活の設計

二年前の今日、ヌーヴェル・ヴァーグのミューズであったジャンヌ・モローがお亡くなりになった。下の写真は、マイルス・デイビスの喇叭を吹いている彼女の写真である。フランソワ・トリュフォー監督の『突然炎のごとく』(Jules et Jim, 1962) でカトリーヌ役…

忍者と悪女

下のクリップは、ヴィンセント・プライスがエドガー・アラン・ポーの詩「大鴉 」(The Raven, 1845) を朗読しているものである。プライスは、マイケル・ジャクソンの「スリラー」のナレーションと笑いのパートを担当していることで記憶している人もいるかもし…

突貫勘太

エドワード・サザーランド監督『突貫勘太』(Palmy Days, 1931)。振付は天才バスビー・バークレー、撮影はグレッグ・トーランド、音楽はアルフレッド・ニューマン、製作はサミュエル・ゴールドウィン、出演はエディー・カンター、ゴールドウィン・ガールズ他…

引き裂かれたカーテン

「フラバー」の記事のところで女優アンナ・リーの名前が出てきたが、日本語の Wikipedia の「アンナ・リー」(Anna Lee) の項目を見ると、彼女がアルフレッド・ヒッチコック監督の『引き裂かれたカーテン』(Torn Curtain, 1966) に出演していることになってい…

裸足の伯爵夫人

ジョゼフ・L・マンキウィッツ脚本・監督『裸足の伯爵夫人』(The Barefoot Contessa, 1954)。ロバート・オルドリッチ監督の『悪徳(ビッグ・ナイフ)』(1955) やニコラス・レイ監督の『孤独な場所で』(1950) にもそういった趣きがあるように、この作品はハリ…

真夏の夜の夢

映画 『真夏の夜の夢』(A Midsummer Night's Dream, 1935) はマックス・ラインハルトとウィリアム・ディターレ監督によるワーナー作品である。全編、キラキラと光っている夜の画面を見ているるだけでも楽しい。撮影はハル・モーア (Hal Mohr) だが、日本語の…

うっかり博士の大発明 フラバー

1961 年、ロバート・スティーブンスン監督による実写のディズニー映画で、原題は、“The Absent-Minded Professor”。ロバート・スティーブンスンは、ディズニー映画を 19 本も監督していて、まさにディズニー映画の巨匠である。ジュリー・アンドリュースが出…

メリィ・ウィドウ

『メリィ・ウィドウ』(The Merry Widow, 1934) は、エルンスト・ルビッチ監督による MGM 映画である。亡くなられた淀川長治さんは、作品が気に入っているかいないかが、すぐに外から察せられる人であったが、この作品については、明らかに本当に褒めておられ…

周遊する蒸気船

フォックス社、1935 年公開のジョン・フォード監督作品。原題は、“Steamboat Round the Bend”。「ウィル・ロジャース三部作」と呼ばれる一連のフォードの人情喜劇のひとつで 『ドクター・ブル』(1933)、『プリースト判事』(1934) に引続く最終作にあたる。こ…