ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

ロリーナ

いろいろと見ても、最近はそのすべての作品について書く気がない。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019) も見たけれどあまり書きたいと思わない。そもそも、タランティーノの映画とは昔からごく曖昧な付き合い方で、最初にタランティーノの名前を知ったのでさえ、何の予備知識もなしに盛岡の映画館にぶらりと入って見た「フロム・ダスク・ティル・ドーン」(1996) からに過ぎないのでかなり後になってのことである。そのときは、予定調和的なビッグ・ストーリーの作品 (脚本) でないところが救いだとは思った。自分は、タランティーノと同世代といえると思うが、60 年代のサブ・カルチュア的なものについて、彼のような関心はとても持てず、今度の作品についても、どうせノレないだろうなあと思いつつ、例によってずるずると見に行ったのだが、なんか向こうも向こうでずるずると演出しているような作品で、やっぱり曖昧なままの関係を維持しただけだった。作品については、60 年代サブカルチュアを描いたジャンルとは一切無縁に見るという方針で努力したので、書かないけどそれなりに面白い細部はいくつかあった。

自分が育った同時代である 60 年代から80年代は、さすがにその時代に存在していたので、まったく無知というわけではないが、それに対する関心の希薄さというのは、自分のブログの記事を見てもほとんど書いていないことに驚くばかりである。そのためかどうかはわからないが、Google Analytics で、ここ 1 ヶ月ほどの間に記事にアクセスしていただいた年代層を確認してみても、自分と同年代は最低で、25 歳~35 歳と 65 歳以上の世代が圧倒的に多いというちょっと不思議なプロファイルである。ちなみに女性の閲覧者は 30 % 程度でこれは、某国立大学の女子学生比率よりは多いので、まあしょうがないんじゃないかと訳のわからない納得の仕方をしている。子供の頃、とてもよかったと思ったもので、いまならどうなんだろうと機会があれば確認したいと思っている数少ないもののひとつは、尾崎一雄の『末っ子物語』ぐらいで、これは、60年代ぎりぎりの 1960 年の小説である。

ジョン・フォードの作品も見直して書いていないものが増えてきた。『騎兵隊』(The Horse Soldiers, 1959) は、スタントマンが事故で死亡してしまいフォードが途中でやる気をなくしてしまったせいか、珍しく「帰還」の主題が見つけにくい作品となっている。この作品で、ジョン・ウェインがコンスタンス・タワーズの頭を覆っていたスカーフをとって、自分の首に巻いて別れるラストの場面では、『捜索者』で何度も流れるあの感動的な Lorena のメロディが流れていることに気がついた。この曲はやはり南北戦争のときに歌われたものである。これをブルーグラス音楽の第二世代ともいうべき、ジョン・ハートフォード (John Hartford) の演奏で聞いてみる (ついでに有名な “Gentle on My Mind” もあげておく)。



捜索者 (字幕版)

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