ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

突貫勘太

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エドワード・サザーランド監督『突貫勘太』(Palmy Days, 1931)。振付は天才バスビー・バークレー、撮影はグレッグ・トーランド、音楽はアルフレッド・ニューマン、製作はサミュエル・ゴールドウィン、出演はエディー・カンター、ゴールドウィン・ガールズ他。エドワード・サザーランド監督は ルイーズ・ブルックスが W・C・フィールズと共演し、水着姿を披露した『チョビ髭大将』(It’s the Old Army Game, 1926) がきっかけで、短い間だったが彼女と結婚していた。

サミュエル・ゴールドウィンは若い綺麗な女性をいっぱい集めて、自前でダンサー・チームを作った。「ゴールドウィン・ガールズ」というのは、正式には彼女たちを擁した会社の名前のことらしい。そこには、ルシル・ボール (ジンジャー・ロジャースとは遠縁にあたる)、ベティ・グレーブル、ヴァージニア・メイヨーなども在籍したことがある。この映画にベティ・グレーブルが出演していると言われているが、自分には画面で特定することは困難である。ゴールドウィン・ガールズに所属していた通算 200 名以上ともいわれる女優たちの写真を延々貼り付けようとも思ったが、やっぱりやめておこう。

被写界深度の深いトーランドの撮影に注目して欲しい。この頃の映画フィルムの感度を調べて見ると、1928 年に導入されたイーストマン・コダック社のパンクロマティック・ネガフィルムである Type 1 および 2 は、ASA (ISO) 感度で 20 〜25 ぐらいであったといわれる。ASA 40 のフィルムが発売されるのは 1935 年、つまりハリウッド・プレコード時代の終わり頃で、この作品製作時にはまだ存在していない。トーランドのパンフォーカスによる撮影で有名な『市民ケーン』(1941) の撮影では、ASA 160 の Super XX が使用されており、照明機材もテクニカラー用の強力なものが利用できた。

この条件を考えると、(またいつ削除されるかわからないが) 下のクリップの千手観音のようなダンスのディープ・フォーカスはすごい。市民ケーンの撮影よりも感動してしまう。

 

Palmy Days [DVD][Import]

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