ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

音楽

堀内敬三

瀬川昌久さんがよく語るように、前回の記事で出た堀内敬三は、日本のジャズ黎明期において二村定一が歌った『私の青空』『アラビヤの唄』に訳詞を提供したりして、日本におけるジャズの受容に功績がありながら、戦時中は一転して軍国主義に迎合し音楽の大政…

Song of the Vagabonds

今月号の文芸誌『群像』に松竹の城戸四郎について蓮實重彥が書いていたので『蒲田行進曲』の元歌である “Song of the Vagabonds” を掲載する。 前回記事の日本映画第一次黄金期の1936年についてもう少しだけ書くと、日本の年間映画館入場者数はこの年、 2.5 …

Star Eyes

眼に星が宿るのは少女漫画だけの表現ではない。この曲は、チャーリー・パーカーが取り上げた影響でスタンダードになったんだな。マイルスも吹いているが、この頃はまだ駆け出し。もともとはヴィンセント・ミネリの 初期の映画 “I Dood It” (1943) で使われた…

Twilight Time

日本に帰ってくると暑いのなんのって。バングラデシュの方がましだった。まるで『寝ても覚めても』(2018) の公開日にあわせて帰ってきたようだけど、それは違うぞ。見る前に余計なものは読まないようにしているが、東出昌大が一人二役らしい。ヒッチコックの…

Cherry Pink and Apple Blossom White

シンガポールのチャンギ空港で待っている間が無聊なのでこれを聞こう。すぐ下のクリップは最近のものだと思うけど、今でもこの曲が演奏されたり歌われたり、踊られたりしているんだなあ。見てるだけで楽しくなる。 1950:André Claveau: Georgia Gibbs: 1951:…

It’s Been a Long Long Time

明日からバングラデシュだけど、先月も行ったばかりで「ひさしぶり」感はまったくなし。この曲は第二次世界大戦の終わりとも重なって、当時大ヒットしたという。歌詞は Doris Day の歌をもとにした。 1945:Kitty Kallen w/ Harry James Orchestra: Bing Cros…

Scarlet Ribbons

これはクリスマス・ソングなんだな。下のもの以外にも数多くのカバーがある。歌詞は Patti Page のクリップにあるが、laying は lying の誤りであろう。lie と lay の違いって学校でさんざん勉強しているはずなんだけどネイティブの間違いを良く見る。それと…

ひばりちゃんの童謡集

ブログの記事に最初の頃、日本語でタイトルつけていたら、「ドロレス・デル・リオ」とか「猿飛勘太」とかの記事が、Google の検索でトップ・ページに出るようになってしまったことに気づいて、それ以来自粛しているのだが、さすがに美空ひばりは大丈夫だろう…

Twenty Flight Rock

フランク・タシュリン監督の『女はそれを我慢できない』(The Girl Can’t Help It, 1956) にある Eddie Cochran の曲。ジャン=リュック・ゴダールの 1957 年度のベスト・ワンは、もちろんニコラス・レイ監督の『にがい勝利』(Bitter Victory, 1957) だが、フ…

Ain’t She Sweet?

これも 1920 年代に作られた曲だが、『彼奴は顔役だ!』(1939) にはさすがに使われていない。1954 年のクリップに、ナット・キング・コールとシャーリー・テンプルとのデュエットと紹介してあるのには笑ったが、もちろん真っ赤な嘘である。しかし、このクリッ…

Bye Bye, Blackbird

マイケル・マン監督の映画『パブリック・エネミーズ』(2009) は、この監督の作品としては良い出来だとは思わないものの、 “Bye Bye, Blackbird” という曲がこの作品の中で重要な役割をしていたのは周知の通りである。そして、この曲もまた『彼奴は顔役だ!』…

Dancing With Tears in My Eyes

これも映画『彼奴は顔役だ!』(1939) で流れていた。 1930:Nat Shilkret and his Orchestra: Regent Club Orchestra: Ruth Etting: Joe Venuti and his New Yorkers: Ben Selvin and his Orchestra: Sweet and Low: Picaddily Dance Band: 1947:Peggy Lee: 1…

Anna (El Negro Zumbón)

アルベルト・ラットゥアーダ監督の同名の映画『アンナ』(1951) からだが、シルヴァーナ・マンガーノの歌は吹き替えである。この作品も含めて、イタリアン・ネオリアリズモを支えた一人であるこの監督の作品を恥ずかしながらほとんど見ていないのだが、それで…

In the Still of the Night

1956:Fred Parris and the Satins:

I’m Just Wild About Harry

アナトール ・リトヴァク監督がわずか二日で降板してしまい、ラオール・ウォルシュ監督が後を引継いで完成させたジェームズ・キャグニー主演の映画『彼奴は顔役だ!』(The Roaring Twenties, 1939) で使われている曲として、プリシラ・レインが “My Melanchol…

Give Me a Band and My Baby

“Big Girls Don’t Cry” の記事で 1956 年度のジャン=リュック・ゴダールのベストテン (カイエ・デュ・シネマ) にある リチャード・クワイン監督の『マイ・シスター・アイリーン』(My Sister Eileen) は、米国では 1955 年度の公開である。日本では劇場公開さ…

I’ve Got My Love to Keep Me Warm

『陽気な街』(On the Avenue, 1937) を見て Alice Faye の魅力に惹かれたところなので、この映画の中で Dick Powell と歌うシーンがある Irving Berlin によるこのスタンダードを紹介する。実際、このスタンダードが初めて紹介されたのは 1937 年のこの映画…

How Much Is That Doggie in the Window

1953 年に発売された Patti Page のこのレコードは、8 週間ビルボードの首位を占め、レコードは二百万枚程売れたという。また飼い犬の登録は前年よりも 8 %上昇したそうである。オリジナルのレコードのジャケットには “Barks by Joe and Mac” と記されていた…

Duke of Earl

もともと歌っている Chandler が所属していた The Dukays でコーラスの練習をしていて “Do do do do...” とやっていたら、だんだんそれが “Du..du..du..Duke of Earl” というナンセンス語に変わってしまったという。Duke は公爵で Earl は 伯爵のことである …

Irish Lullaby

1913 年にアイルランド系アメリカ人のJ. R. Shannon によって作られた曲。この曲をヒットさせた Bing Crosby のものと Patti Page のものを紹介する。 1944:Bing Crosby: 1958:Patti Page: ※ Bing Crosby の歌詞 Too-ra-loo-ra-loo-ralToo-ra-loo-ra-liToo-r…

Big Girls Don’t Cry

カイエ時代のジャン・リュック・ゴダールの1956 年度ベストテンは、 アーカディン氏 (オーソン・ウェルズ) 恋多き女 (ジャン・ルノワール) 知りすぎていた男 (アルフレッド・ヒッチコック) バス停留所 (ジョシュア・ローガン) 悪の対決 (アラン・ドワン) ア…

He Moved Through the Fair

大女優モーリン・オハラの歌は聞いたことがなかったんだけど、元歌手だったという母親譲りで歌も上手だなあ。アイルランド伝承の “She Moved Though the Fair” の she を he に変えて歌っている。許されなかった結婚であるにもかかわらず、恋人には結婚式は…

Hushabye

これも Doc Pomus と Mort Shuman による曲。1959 年に作られて The Mystics によってレコーディングされた。日本語の「ねんねんころりよ」に相当する語が Hushabye である。1964 年に The Beach Boys もカバーしているので、それも一緒に紹介する。ビーチ・…

Little Star

主にニューヨークのイタリア系のメンバーによって構成された Doo-Wop グループである The Elegants の名曲。“Twinkle, Twinkle, Little Star” を翻案している。1958 年のリリースだが、57 年のオリジナル・デモの録音が残っていて、これがまた良い。 1958: 1…

Next Door to an Angel

1962 年のニール・セダカの曲で、とりたてて良い曲だとは思わないんだが、ある日本の曲を思い出したので。歌詞の “I'm on cloud number nine.” は「天に昇ったような気分」という意味で使われる。“the lucky devil” は、「運のいい奴」と言う意味で、“the lu…

Da Doo Ron Ron

バックがぶ厚い音楽って全然駄目で凡庸さしか感じないので、フィル・スペクターなんかはポピュラー音楽をつまらなくした歴史的元凶ではないかと疑っているのだが、The Crystals のこの 1963 年の曲はもともと簡潔であり、単純に楽しいので好きである。下のリ…

This Year’s Kisses

1937 年、ロイ・デル・ルース監督の映画 “On the Avenue” の中の曲として、Irving Berlin が作った曲。日本では1937年12月に『抓って頂戴』という素晴らしい題名で封切られたものの、当局の注意を受けて『陽気な街』という残念な名称に改題されている。こん…

This Magic Moment

1959 年の終わりに録音され、1960 年の初めにBen E. King のリードで The Drifters のシングルとしてリリースされた。作詞は、Doc Pomus 、作曲は Mort Shuman である。良い曲だなぁ。Jay and the Americans の方がヒットしたらしいし、他のアーティストもた…

Born Too Late

クリーブランドの郊外の女子高校生が結成したのが “The Poni-Tails” で彼女達が 19 歳のときの可憐な曲である。 1958: Born too late for you to notice meTo you, I'm just a kid that you won't dateWhy was I born too late? Born too late to have a cha…

Johnny Angel

最初下のクリップ見ていても全然ピンとこなかったんだが、そうか、これが日本でも『うちのママは世界一』というタイトルでテレビ放映された “The Donna Reed Show” なんだとようやく得心した。Shelley Fabares は Donna Reed の娘役だったのである。 美しい…