ハワード・ホークス監督の映画をたびたび取り上げているが、今度は美しい航空映画の一本『コンドル』(Only Angels Have Wings, 1939) でのジーン・アーサーとケーリー・グラントのシーンである。
このクリップの最初で、曲の名前が発言されジーン・アーサーがケーリー・グラントに替わって弾いた “Some of These Days” を見てみることにする。
※ 実は、この曲がホークス映画の中で使われるのは初めてではない。『暗黒街の顔役』(Scarface, 1932) ですでに登場している。下のクリップで、音質は良くないものの、2 分 30 秒ぐらいのところのジョージ・ラフトとアン・ドヴォラックの場面でドヴォラックがダンスを踊るときから始める曲がそうである。
ジャン=ポール・サルトルの小説『嘔吐』にも登場するこの曲は、20 世紀前半のブロードウェイでもっとも有名だったといってよいかもしれない Sophie Tucker の代名詞のような曲で、すでに 1911年に録音されている。
しかし、有名なのは Ted Lewis 楽団がバックをつとめた 1926 年の大ヒットとなった録音である。
※ そういえば、 Ted Lewis 自身の最初のヒット曲である “When My Baby Smiles at Me” は、1938 年のベニー・グッドマンのカーネギー・ホール・コンサートの演目の一つだった。この曲の最初の録音は 1920 年だが、Ted Lewis によって複数録音されている。以下のは 1920 年と 1926 年のもの。
もちろん、この曲 (Some of These Days) は他のアーティストによって多数カバーされている。
1923:
The Orginal Dixieland Jazz Band:
1927:
Fletcher Henderson:
Ethel Waters:
※ 『嘔吐』では黒人の女性歌手がしゃがれた声で歌うとあるのだから、Sophie Tucker よりもEthel Waters を想起させる。//
Vaughn de Leath:
1928:
Allister Wylie and his Cornado Hotel Orchestra:
1929:
Louis Armstrong:
1930:
Cab Calloway:
1931:
Fred Rich:
Snooks and his Memphis Ramblers:
1932:
Eddie Lang, Bing Crosby:
1933:
Jack Hylton:
1934:
The Mills Brothers:
1935:
Coleman Hawkins:
Peggy Dell:
1941:
Jean Omer:
1949:
Sidney Bechet:
1956:
Eileen Rodgers:
1958:
Lizzie Miles:
1960:
Bobby Darin:
Rosemary Clooney:
1962:
Susan Maughan:
1963:
Sue Raney: