ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

腰抜け二挺拳銃の息子

フランク・タシュリン監督の『腰抜け二挺拳銃の息子』(Son of Paleface, 1952) は、『腰抜け二挺拳銃』(The Paleface, 1948) の続編。1952  年の方はジェーン・ラッセルの泡風呂のシーンがあるのが忘れ難い。下の YouTube のクリップを作った人もその場面を外すことは忍びなかったと見える。

ピンナップ・ガールの元祖といえば『コンチネンタル』(1934)、『艦隊を追って』(1936) なんかに出演している脚線美で知られたベティ・グレイブルだが、肉感的なグラマー女優の代表といえばやはりジェーン・ラッセルであろう。英語の glamorous という言葉は、この頃より直接的なセックス・アピールをもった女性を形容するのに使われはじめたのである。

ジェーン・ラッセルの出世作である『ならず者』(The Outlaw, 1943)、そしてボブ・ホープと共演したこの『腰抜け二挺拳銃』シリーズもよいし、マリリン・モンローとの共演というか彼女を反復しているといってよいハワード・ホークス監督の『紳士は金髪がお好き』(Gentlemen Prefer Blondes, 1953) も忘れがたい。彼女の肉体は変な精神性が感じられず、ちょっとイタリア映画の女優を見るような感があって見ていて気持ちがよい。彼女自身も「肉体は隠すから汚くなるもので、太陽の下にさらせばさらすほどきれいになるものよ」とあっけらからんとしていたそうである。

 

もともとハワード・ホークスのアイデアであったというハワード・ヒューズ監督の『ならず者』でインディアンに追われたラッセルが胸の谷間を強調した衣裳を着て、乳房をたゆたいさせながら馬で逃走するシーンはもはや神話の域に達しているが、実際の画面を見るとそれほど扇情的ではなく、むしろ活劇としていい出來ではないかと思う。この神話には、本当か嘘かわからない尾ひれがどんどんついていて、あの『市民ケーン』のパン・フォーカスで有名なキャメラのグレッグ・トーランドに、ヒューズは彼女の胸の谷間をできるだけ奥深くまで撮影するよう命じたとかいう話しまで存在している。

 

『腰抜け二挺拳銃』は両作ともカラー映画で、ジェーン・ラッセルのクールな拳銃さばきがたまらなくよいのだが、特に本作の方は、真っ赤に塗った口紅が彼女の肉感性を更に強調することになる。

 

『腰抜け二挺拳銃』の両作で唄われる "Buttons and Bows" の曲が一時期、耳についてしまって困ったことがある。 日本では「ボタンとリボン」という題で池真理子が唄って大ヒットしたそうだが、そのタイトルよりは「バッテンボー」の歌として有名だった。訳詞をした鈴木勝という人は、池真理子の夫にあたるが、鈴木大拙の息子だそうである。

 

この曲、ダイナ・ショア (Dinah Shore) が歌っている "Buttons and Bows" が一番有名だと思うが、映画の挿入歌とは違っていて東部の都会にあこがれる西部の女の子の立場で唄われており、bows とはボウタイ・リボンのことを指すんだとおもう。

 

 

英語の歌詞と我ながら下手すぎだなと思いながらも日本語訳をつけておいた。

 

Buttons and Bows  (ボタンとリボン)


East is east and west is west

東は東、西は西っていうけど

 

And the wrong one I have chose (ママ)

間違った方を選んだものだわ

 

Let's go where I'll keep on wearin'

行きましょうよ、いつも着ていられるところへ

 

Those frills and flowers and buttons and bows

フリルとお花とボタンとリボンがついたのとか

 

Rings and things and buttons and bows

リングといろんなのとボタンとリボンがついたのを


Don't bury me in this prairie

こんなプレーリーに埋めておかないでね

 

Take me where the cement grows

どこかセメントが育っているところに連れていって

 

Let's move down to some big town

大きな町へ行きましょうよ

 

Where they love a gal by the cut o' her clothes

そこでは女の子は服のカットで愛されるの

 

And I'll stand out in buttons and bows

ボタンとリボンがついたのを着たら、わたし目立っちゃうだろうな

 

I'll love you in buckskin

Or skirts that I've homespun

そりゃ鹿革の服を着たり手織りのスカートをはいてても、あなたのこと愛するつもりよ

 

But I'll love ya' longer, stronger where
Yer friends don't tote a gun

でも、あなたのお友達が銃を持ち運んでない場所でならあなたのこともっと長く強く愛せると思うの

 

My bones denounce the buckboard bounce

And the cactus hurts my toes

背板のはねかえりで、わたしの骨はブーブー言ってるし、サボテンのせいで足の指がいつも傷ついてる

 

Let's vamoose where gals keep usin'
Those silks and satins and linen that shows

女の子が目立つシルクやサテンやリネンをいつも使ってる場所へ行きましょうよ

 

And I'm all yours in buttons and bows

そしたら、わたしはすべてあなたのものよ、ボタンとリボンがついたのを着て

 

Gimme eastern trimmin' where women are women

わたしを女が女である東部風に飾らせてよ

 

In high silk hose and peek-a-boo clothes

絹のストッキングとピーカーブーのドレスと

 

And French perfume that rocks the room

部屋をやさしく揺らすフランスの香水で


And I'm all yours in buttons and bows

そしたら、わたしはすべてあなたのものよ、ボタンとリボンがついたのを着て

 

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