“Love Me Tender” の元歌である “Aura Lee” は南北戦争の頃の歌らしいけど、これも良いなあ。
上の Eddie Albert の歌唱の歌詞を下に挙げておく。
As the blackbird in the spring,
‘Neath the willow tree,
Sat and piped, I heard him sing,
Singing Aura Lee.
Aura Lee, Aura Lee,
Maid with golden hair;
Sunshine came along with thee,
And swallows in the air.In thy blush the rose was born,
Music, when you spake,
Through thine azure eye,
The morn sparkling seemed to break.
Aura Lee, Aura Lee,
Bird of crimson wing;
Never song has sung to me,
As In that bright sweet spring.Aura Lee! The bird may flee,
The willow’s golden hair
Swing through winter fitfully
On the stormy air.
Yet if thy blue eyes I see,
Gloom will soon depart;
For to me, sweet Aura Lee
Is sunshine through my heart.When the mistletoe was green,
Midst the winter's snows,
Sunshine in thy face was seen,
Kissing lips of rose.
Aura Lee, Aura Lee,
Take my golden ring;
Love and light return with thee,
And swallows in the spring.
フランシス・ファーマーが歌っているものもあった。
1936 年、ハワード・ホークス / ウィリアム・ワイラー監督の『大自然の凱歌』のシーンからである。原題は、映画の始まりと終わりで、エドワード・アーノルドが、トライアングルを打ち鳴らしながら、「飯の時間だ!」と合図をする “Come and Get It!” である。
この映画、出演はフランシス・ファーマー、エドワード・アーノルド、ウォルター・ブレナン、ジョエル・マクリーなどで、監督はもともとハワード・ホークスだったが、プロデューサーのサミュエル・ゴールドウィンとの対立から監督を降り、ウィリアム・ワイラーが監督を引き継いだ。 撮影監督は、グレッグ・トーランドとルドルフ・マテの二人が担当するという、まったく信じられない組合わせである。
この映画は、もちろんフランシス・ファーマーがヒロインだが、酒場の女とその娘という一人二役で登場している。つまり、監督といい、撮影監督といい「双数性」を有した作品なのである。
フランシス・ファーマーが伝説的な女優であることはいうまでもない。ハワード・ホークスは、かつて一緒に仕事をした女優たちの中で、フランシス・ファーマーが最高の女優であったといっている。彼女はとうとうハリウッドにはなじめず、最後は精神を病んでしまう。今、日本の DVD で見られる彼女が出演した作品は、この『大自然の凱歌』ぐらいだろうと思う。
彼女は前半部で酒場の女を演じているが、もともと上品で清楚な美貌の彼女を酒場の女になりきらせるために、ホークスは、映画界に入って間もない彼女を街娼がたつハリウッドの街角に夜な夜な立たせる。男が彼女に声をかけるようになるまで、撮影は始めなかったという。
他のホークス映画もそうだが、彼の作品の男女関係の特徴は、女はプロフェッショナルで男とは「共犯者」の関係として常に描かれることだ。前半部、親友同士を演じるエドワード・アーノルドとウォルター・ブレナンという二人の素晴らしい男優に混じって、酒場で二人が始めた喧嘩に手を貸し、金属のトレイを投げ飛ばすあたりの演出の呼吸は涙なしでは見られない。後半のフランシス・ファーマーの娘役(左目の下のほくろがない!)は、メロドラマになってしまって、少し残念である。おおむね画面の力が弱いし、最後のパーティのシーンなど、いかにも凡庸だとしか思えない。ハワード・ホークスと比較してはかわいそうだが、明らかにウィリアム・ワイラーが演出したとしか思えないシーンである。たとえば、エドワード・アーノルドが歳をとったことを表現したいといっても、息子であるジョエル・マクリーを殴る、あのやり方はないだろうと思わせる。