ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

パーソナル・ソング

数年前のサンダンス映画祭で話題となったドキュメンタリー映画『パーソナル・ソング』(Alive Inside, 2014) でも紹介されていたが、認知症の症状の緩和に音楽が用いられている。それがどこまで効果があるのか寡聞にして知らないが、人にとって特定の音楽 (パ…

東京キッド

これはさすがに昔見ているが、斎藤寅次郎監督の『東京キッド』(1950) を見る。この作品はいま見ても大変面白く、当時大ヒットしたのがよくわかるし、13 才の美空ひばりが、すでに卓越した歌手であることもわかる作品だ。二回歌われる仁木他喜雄が編曲した、…

憧れのハワイ航路

斎藤寅次郎監督の『憧れのハワイ航路』(1950) を見る。岡晴夫と美空ひばりの歌が満喫できるなあ、この映画。それと、戦前の小津映画でおなじみの (たとえば、1932 年の『大人の見る繪本 生まれては見たけれど』) 吉川満子が出演しているのを見たときには嬉し…

没後30年

今年は美空ひばりの没後 30 年だったなあ。1937 年生まれの美空ひばりの舞台デビューは 、9 歳になった 1946 年 9 月、横浜市磯子の映画館「アテネ劇場」においてとされており、そのころの芸名は「美空和枝」であった 。彼女はそこでディック・ミネの「旅姿…

港に赤い灯がともる

海水魚って、どうやって水分補給するんだろうと不図、疑問に思ったが、やっぱり海水をゴクゴク飲んで塩分を体外に排出しているんだ。淡水魚は浸透圧の関係で、逆にエラなどから水が体内に吸収されていくので、積極的に水を飲まない。逆に体内の余分な水を外…

とりとめなく (2)

本当にとりとめなく聞く。日本特派員だったバートン・クレーンの歌を二曲。1931: (バートン・クレーン) 酒が飲みたい: ニッポン娘さん: ※ 東京の娘さんのところは「東京の娘さん、いかがです、銀座ガールつれない、いつでも冷淡」と言っている。名古屋の娘さ…

とりとめなく

これは小国英雄が脚本だけではなく、日活から東宝へ移籍し監督もした、『ロッパ歌の都へ行く』(1939) の断片だと思う。場所は日劇で、司会しているのが「悦ちゃん」なのかなあ (自信なし)。淡谷のり子が『雨のブルース』、上原敏が『親戀道中』、松島詩子が…

ワイントラウブ シンコペーターズ

憲法の意義を完全に無効にする全権委任法の成立によって独裁体制が合法化され、ヴァイマル共和国が無残にも崩壊し、20 世紀の悪夢となった第三帝国が生まれる三年ばかり前のドイツで、監督ジョセフ・フォン・スタンバーグと新人女優マレーネ・デートリッヒが…

東京オリムピック

やがて敗戦という結果に至る時局により、実際に開催されることはなかったが、「大きなプロパガンダ効果が期待できる」としてアドルフ・ヒトラーが開催した 1936 年のベルリン・オリンピックに続く 1940 年の開催地は、二・二六と阿部定事件が起きた 1936 年…

濡れ髪牡丹

日本映画黄金期の大スター、京マチ子と市川雷蔵という、これ以上何を望めばいいのかと思うような贅沢な共演で、時代劇でありながらソフィスティケイテッド・コメディでもある。おまけに京マチ子の入浴シーンまである。目にも色鮮やかな紫の傘の柄に仕込まれ…

情欲の悪魔

ドリス・デイ追悼で『情欲の悪魔』(1955) を見る。正直、ルース・エティングはそれほど好きな歌手ではないけれど Rodgers & Hart が作った、10 セントのチケットで男性客のダンスの相手を一晩中する踊り子を描いた切ない “Ten Cents a Dance” は好きで、この…

ドリス・デイ追悼のために

アルフレッド・ヒッチコック監督の英国時代の作品 『暗殺者の家』(The Man Who Knew Too Much, 1934) の自身のリメイクである『知りすぎていた男』(The Man Who Knew Too Much, 1956) の前年に作られた、チャールズ・ヴィダー 監督で、ジェームズ・キャグニ…

鵠沼海岸

※ 現在の鵠沼海岸 *1// 小津安二郎の『晩春』(1949) の自転車のシーンは冒頭に江ノ島が見えるので、鵠沼海岸から茅ヶ崎方向にサイクリングしていることが分かる。コカコーラの標識が有名だが、コカコーラは大正時代にはすでに日本で (輸入品として) 販売され…

石松三十石船道中

大阪と伏見を淀川で結んだ「三十石船」は、広沢虎造の『石松三十石船道中』であまりにも有名であるが、マキノ正博監督の傑作 『續清水港』(1940) のクリップがある。DVD は残念ながら販売されていないがフィルム・センター他では上映される機会がある。広沢…

アーカイブ

ゴダールの映画 『イメージの本』(2018) には海辺が出てくる。ゴダールの言うアーカイブとは、データベースのことではないと思う。それは海辺に打ち上げられた漂流物のようなものである。それはまず人によって発見されねばならないが、それだけではなく、そ…