「完璧さ」という厚顔無恥さからはほど遠い、「現在」という束の間の移ろいやすい瞬間に対するその類い稀な才能が、聞くものに本当の贅沢さとはいったい何かを教えてくれるようである。なお、歌詞は、彼女が歌っている通りにおこしたつもりであるが、本来文…
この曲の題名、“Mugmates” の mug は「マグ・カップ」(日本語英語であり、英語では単に mug で良い) のことだけど、この「マグ・カップ」という言葉っていつ頃から使われはじめたのか、ちょっと気になってざっと調べたんだけどよく分からなかった。少なくと…
James Cagney と Joan Blondell が主演し、Roy Del Ruth が監督した映画 『腕の男』 (Blonde Crazy, 1931) の挿入歌として、Einar Aaron Swan によって作られた曲。さすがにプレコード時代真っ只中の映画だけあって Joan Blondell の入浴シーンがある。 下の…
プラトン以来綿々と続く「オリジナル」が「コピー」に優越すると いう考え方は、20 世紀に入ってジル・ドゥルーズ、ヴァルター・ ベンヤミン、ジャン・ボードリヤール、中井正一などによる考察があったものの、21 世紀に入っても至るところに紋切り型の制度…
1961 年の Neil Sedaka の曲である。日本語のタイトルは『すてきな16才』であった。林寛子が歌っていた。小泉今日子は『私の16才』だが、この曲もどこかで歌っているらしい。 1961:Neil Sedaka: 1962:弘田三枝子: 長谷部マサアキ: 石田良子: 1973:小山ルミ: …
これは、Joanie Sommers の 1960 年のデビュー曲で、もともとはエルヴィス・プレスリーがモデルのミュージカルの挿入歌であった。日本だとキャンディーズや松田聖子も歌っている。松田聖子が歌ったのはちょうど声を潰してしまった時期であり、澤井信一郎監督…
昨日の記事に少しだけ関連する。 昨年バングラデシュで行った健診結果をまとめ、学会発表のために来日したバングラデシュの医師と本日お会いしたときに、終わったばかりの学会発表のことが話題となった。その医師が発表を終えると、何故そんなに異常率が高い…
この歌詞、いまだと内容に問題があるなあとは思うものの、ヒットさせた歌手 Joanie Sommers は「ジョニー・ソマーズ」と日本語では表記され、曲の “Johnny Get Angry” の日本語タイトルは『内気なジョニー』で両方とも「ジョニー」になっている一方で、英語…
今月号の文芸誌「新潮」に蓮實さんが「選ぶことの過酷さについて —濱口竜介監督『寝ても覚めても』論」を発表している。蓮實さんがここまで擁護し煽動するのも久しぶりのような気がする。止むに止まれない理由で未だ映画を見ていない人もいるかもしれないの…
去年のクリスマス前にツイストの動画を見て脳内暴走が始まったので、ほどほどにしておきたいが、Chubby Checker のこのクリップだけは 1 億回以上の視聴がわかってしまう。ツイスト・ダンスは痩せるとか宣伝して 60 年代初頭に流行したこのダンスをもう一度…
それほどメジャーとは言えないだろう、イタリア系アメリカ人である女性歌手ティミ・ユーロー (Timi Yuro) の黒人歌手のようにソウルフルな 60 年代初期の曲、『涙が頬をぬらすとき』(1962, What’s a Matter Baby) とか デビュー曲である『涙の想い出』(1961,…
瀬川昌久さんがよく語るように、前回の記事で出た堀内敬三は、日本のジャズ黎明期において二村定一が歌った『私の青空』『アラビヤの唄』に訳詞を提供したりして、日本におけるジャズの受容に功績がありながら、戦時中は一転して軍国主義に迎合し音楽の大政…
今月号の文芸誌『群像』に松竹の城戸四郎について蓮實重彥が書いていたので『蒲田行進曲』の元歌である “Song of the Vagabonds” を掲載する。 前回記事の日本映画第一次黄金期の1936年についてもう少しだけ書くと、日本の年間映画館入場者数はこの年、 2.5 …
1936 年というと、日本では、2.26 事件が起き東京に戒厳令がひかれた年にあたるが、この年、日本映画に奇跡が起きる。「第一映画社」という、いささか胡散臭い映画会社から、女性映画を専門にした溝口健二監督によって『浪華悲歌』『祇園の姉妹』という二本…
眼に星が宿るのは少女漫画だけの表現ではない。この曲は、チャーリー・パーカーが取り上げた影響でスタンダードになったんだな。マイルスも吹いているが、この頃はまだ駆け出し。もともとはヴィンセント・ミネリの 初期の映画 “I Dood It” (1943) で使われた…