ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

All the Cats Join In

『みんなでジャズを!』(All the Cats Join In) は、1946 年に公開された十の独立短編からなるオムニバス形式のディズニー映画 “Make Mine Music” の中の短編アニメーションである。映画のサウンド・トラックのインスツルメンタルの部分は、1944 年に Benny …

若い人

混雑した通勤電車での不快さが更に募らされるときがあって、多くの場合そうさせているのは、いつの頃からかは覚えていないが車両の中に掲示されている書籍の広告である。 その電車の広告たちが紹介しているそれぞれの本は、ただの一度たりともそれを眺めてい…

On the Sunny Side of the Street

演奏が多数あるので、一部を紹介するに留まるだろう。 1930:Ted Lewis and his Band: Casa Loma Orchestra: Harry Richman: 1934:Coleman Hawkins: Louis Armstrong and his Orchestra:※ Part 1 and 2 1937:Lionel Hampton and his Orchestra: 1938:Duke Ell…

席を立ちたくなった映画

今月号の文芸誌 「新潮」にあった「映画から動画へ」という文章を読んでその「ポスト・ツゥルース」時代に相応しい文章に辟易する。「スター・ウォーズ」のシリーズ第一作を封切当時に見たときから、これといって心を動かされた体験をした記憶がない自分とし…

Yesterdays

「わかりやすい」が具体性を欠く二次的言説をやみくもに信じてはならないというのは、情報社会で生きるための常識である。結論めいたことを口走る前にまずは一次的な資料に敬意を表して律儀に辿りなおしてみること。だからといって、それは、はしたない詮索…

Jack the Bear

1940 年の 2 月から 10 月にかけての デューク・エリントン楽団のメンバーは、下記の通りである。 Rex Stewart (cnt), Cootie Williams, Wallace Jones (tp), Joe Nanton, Juan Tizol, Lawrence Brown (tb), Barney Bigard (cl,ts), Johnny Hodges (as,sop),…

Do Nothing Till You Hear From Me

この曲にまだ歌詞がなく “Concerto for Cootie” として演奏された 1940 年の録音は絶品だと思う。Cootie Williams はこの年にベニー・グッドマン楽団に移籍してしまうし、Jimmy Blanton は健康上の理由から 1941 年の終わりにはエリントン楽団を去ることがこ…

(You’d Be So) Easy to Love

このコール・ポーターの不朽のスタンダード曲は、 MGM 映画 『踊るアメリカ艦隊』(Born to Dance, 1937) で初めて使われた。 James Stewart と Eleanor Powell が歌っていて、Powell の方は Majorie Lane が吹替えているが、James Stewart の方は本人の声だ…

Love for Sale

このコール・ポーターの曲、日本でも色々な方が歌われているんだけど個人的にはなぜか「沢たまき」を思い出す(もちろんリアル・タイムで聞いていたわけではない)。 1930:Fred Waring’s Pennsylvanians: 1931:Libby Holman: 1939:Hal Kemp: 1940:Jack Teagard…

St. Louis Blues (2)

※ 前の記事からの続き 1945:Pearl Bailey: 1946:Duke Ellington:※ Shelton Hemphill, Taft Jordan, Francis Williams, Cat Anderson, Harold ''Shorty'' Baker (tp), Ray Nance (tp,vln), Lawrence Brown, Claude Jones, Wilbur DeParis (tb), Jimmy Hamilto…

St. Louis Blues (1)

ヨーロッパ最高のトランペッターとして「白いルイ・アームストロング」と称えられながら、ユダヤ系であるためにナチスの迫害を受け、最終的にスターリン時代のソヴィエトに亡命した Eddie Rosner は、そこでソヴィエトのジャズの発展に貢献しながら冷戦期に…

King Porter Stomp

インターネットが最悪だと思うのは、あたりに流通しているいかにも耳障りのよい言葉やイメージに同調させられてしまうときである。それが最良だと感じるときは、自分にとってはまるで現実感を欠いている時間的、空間的に隔たった潜在的なものが、いまここの…

Route 66

ジョン・フォード監督とローリング・ストーンズは、ともに作品の中で Route 66 を取り上げたということで類似してしまう。フォードは『怒りの葡萄』(The Grapes of Wrath, 1940) で、ローリング・ストーンズは、デビュー・アルバムの最初の曲として取り上げ…

Anything Goes

1934 年に同名の著名なミュージカルで使われたこの曲 “Anything Goes” (「何でもあり」)は、コール・ポーター(Cole Porter) の作詞・作曲である。もっとも、歌詞の方は時代とともに別のものへ置き換えられている。最近では Lady Gaga と Tony Bennett が歌っ…

Hesitation Blues / Hesitating Blues

アドルノの『ポピュラー音楽について』を読んだが、シリアス音楽とポピュラー音楽を厳密に規格化して区別しようとするその MECE な発想にまず辟易する。創造って概念と概念が位相として無駄に重なりあったところがないと出来ないので(例: ウナギ犬)、この人…