「清宮の定理」の証明. 証明法は直前の記事の「ターナーの定理」の証明とほぼ同じである. *1
【定理】
の外接円上の
点を
,
とし,
辺
,
,
に関する点
の対称点をそれぞれ
,
,
とする.
直線
,
,
が
,
,
と交わる点をそれぞれ
,
,
とすると,
点
,
,
は
直線上にある.
【証明】
証明の方針は, にメネラウスの定理の逆を適用して,
点
,
,
が同一直線上にあることを示すことである.
ここで, 最後の式は 番目の式の分母の順序を入替えただけである.
ここで, であることを示す.
は
を軸として
を対称移動した点だから,
したがって,
上と同様にして,
円周角から,
なので,
がいえた. このことから,
同様にして,
以上から,
よってメネラウスの定理の逆により, 点
,
,
は
直線上にある.
//
※「清宮の定理」の複比を使った証明. 複比については, 記事 参照.
【複比による証明】
さらに, 辺
,
,
に関する点
の対称点をそれぞれ
,
,
とする.
線対称の性質から, ,
,
である. したがって,
だから,
と
は同じ直線上にあるので,
と
の交点
,
と
の交点
,
と
の交点
は同一直線上にある.
//
*1:清宮の回想によれば, ターナーの定理は, 証明なしに発表されたもので, 日本の中等教育数学学会誌の 年
月号に転載されたものである. (旧制) 中学
年の終わりに中学の先生を通じてその問題を知った清宮は, 問題を解くために
ヶ月程考え, 中学
年生の
月
日の夜に解くことができたとある. 問題が発表された雑誌に解答を寄せたのは清宮ただ一人であったという. 「清宮の定理」が発見されたのは, ターナーの定理の証明がなされた
日後の
月
日のことであると清宮は記している. 名前は記されていないが, 清宮の中学の先生は, 清宮に「反転」 について教えたり, 高度な幾何学の本を何冊か彼に与えたとある.