自分が高校生だった頃になく, 今はあることで羨ましいと思う数少ない数学の参考書は, 長岡亮介著『総合的研究 論理学で学ぶ数学――思考ツールとしてのロジック』 (2017) であるが, その後書きにこんなことが書いてある.
蛇足に過ぎないんだが, 集合を表わすのに, 「外延的記法」「内包的記法」といいながら , 実際にはどちらとも言えない 「パラメータ記法 」 (?) のような省略的便法としての集合の表わしかたが普通に行われていることも理由としてあるのではなかろうか. 内包的記法で書くとは, 要素がその集合に入ることを許される条件を書くことである. それは (普遍集合が定まっている場合) 述語 = 命題関数を真にすることと同じである. 上記の場合だと解集合 (真理集合) を,
と表わしてみれば, はっきりするだろう. は述語を定義するのに必要な補助変数で, 自由変数であることはできないし, では意味がまったくわからない. また, 束縛変数の名前は, スコープ内では , を除く好きな名前にしてよいから, この場合は,
と量化子の分配則が適用でき, でよい. ただし, と書いても冗長なだけで, 論理的には同値である.
※
の証明 (シークエント計算風).
()
公理より,
これから,
が成立する. したがって,
前件には自由変項 を含まないので, 変項条件を満たし, 全称汎化でき (自由変項 が任意であるから全称汎化できると考えるよりも, 自由変項 を推論にあらわれていない別の自由変項 に置き換えてみてもまったく同様のことを証明できるからそうだと考える方が個人的には分かりやすい気がする),
これから,
()
公理より,
これから,
したがって,
したがって,
前件には自由変項 を含まないので, 変項条件を満たし, 全称汎化でき,
となる.
//
であれば, 双対原理により,
も成立する.