なんとなくしか覚えていないが, 数学教育の現代化がいわれていた時代だから, 中学 年の数学の教科書にある「関数」の定義は「 つの集合 , があって, のどの要素 に対しても, の要素 がただ つだけ対応するとき, その対応を から への関数という. またこのとき, 『 は の関数である』ともいう」だったらしい.
いまのテキストでも「対応する」という言葉が関数の定義には使われているが, 自分の中ではそれを「対 (pair) にする」とした方がわかりやすい. さらにその「対」のことを と記号で書くと定義すればよい. は普通「座標」と呼ばれているが, 大学になると急に「順序対」などと言い出す. なんと呼ぶにしろ, は , の要素 と の要素 を「対応」させたものである. それぞれの要素 と対になる が存在し, しかもその はちょうど つだけあるということと, それぞれの要素 について, 対 はちょうど つだけあるということは同じことである.
そうすると, 先程の定義は
「 つの集合 , ( は空集合でないとする) があって, のどの要素 に対しても, の要素 との対 をちょうど つ作るとき, その対 全体がつくる集合 *1を から への関数 という*2. またこのとき, “ は における関数 の値である” という. *3」
とでもなるだろうか. *4
対 は座標のことに他ならないのだから, 「座標全体の集合」とは, グラフに他ならない. *5つまり, 関数とそのグラフをいちいち区別しないという立場である. 関数のグラフを書いて, それぞれの から 軸に平行に直線を引いて, その直線が考えているグラフと例外なくちょうど 点で交わるならばそのグラフは「関数」である.
比例は「単位あたりの量」が分かっていればそんなに難しくない.
たとえば, 時間と距離が比例 (時間から距離の比例関数を で表わす) している状況で, だとすると,
比例とは が 倍になれば, も 倍になる関数のことだから, だとすると,
となる. 尚, 比例を図形的に解釈するのは省略する. また, 反比例は集合 として実数全体から を除いたものをとらないと関数にはならない.
※ 森毅が大学初学年における基礎科目は数学的に見ればほとんど下のような図式に包摂されると語っていたことを思い出した.