ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

同一法

同一法による証明の例. 下の図のように直角三角形 ABC の斜辺  BC の中点を  D とするならば  AD = BD = CD というのをわざわざ同一法を使って証明してみる. 円周角は中学 3 年生にならないと習わない.

【証明】

直角三角形の斜辺である線分  BC 上の点において,  \angle BAD' = \angle B となるように点  D' をとるとする (仮設).  \angle B は鋭角だから, そのような点  D' は必ず線分  BC 上に存在する. すると  \triangle D'AB は二等辺三角形となる. また,  \angle B + \angle C = 90^\circ だから,  \angle D'AC = \angle C であり,  \triangle D'AC も二等辺三角形となる。このことから  BD' = AD' = CD' , すなわち点  D' は線分  BC の中点  D である (結論).

2 点間の距離 (2 点を結ぶ線分の長さ) が  0 のとき, その  2 点は同一とみなす. 線分  BC 上の点において,  D 以外に  D_1 も中点だとすると,

 BD + DC = BC,
 BD_1 + D_1 C= BC

から,  BD = DC,  BD_1= D_1C より,

 BD = BD_1 = BC/2

となって,

 BD_1 + D_1D = BD,
 BD + DD_1 = BD_1

のどちらであったとしても, DD_1=0 であり,  D= D_1 である.

したがって, 線分  BC 上の点において, 中点  D はただ一点存在するので, 逆も成立し, 線分  BC 上の点が中点  D であるならば,

 \angle BAD = \angle B

であることがいえて,

 AD = BD = CD

である. //

※ 含意命題  p \rightarrow q において, 命題  p の真集合を  P, 命題  q の真集合を  Q とする.  p \rightarrow q が真であることと,  P \subset Q であることは同値である. もし, 真集合  Q の要素がひとつしかないとすると,  Q の部分集合は空集合と  Q 自身である. したがって,  P が空集合でなければ,  P = Q である. これは命題  p と命題 q が同値 (必要十分) であることを意味する. このことに基づいた証明を「同一法」ということがある.

教科書にもある同一法の有名な例は, ピタゴラスの定理の逆証明である. ピタゴラスの定理は, 二辺の長さが  a,  b の三角形において(全体集合), その二辺による角が 90^\circ ならば(仮設), 残りの辺の長さ  c は,  c^2 = a^2 + b^2 を満たす (結論) というものである. ここで, 結論の命題  c^2 = a^2 + b^2 を満たす三角形は, 三角形の合同という同値関係が与えられている場合, ひとつしかない. なぜなら, 結論の命題を満たす別の三角形があったとして, その辺の長さが a,  b,  c' だとすると

 c' ^2= a^2 + b^2 = c^2

で,  c>0,  c'>0 から,  c =c' となって, 三辺相等の合同条件を満たすことにより, 二つの三角形は同一とみなされるからである.

このことから逆の命題,

二辺の長さが  a,  b の三角形において, 残りの辺の長さが  c^2 = a^2 + b^2 のとき, 二辺  a,  b を挟む角は  90^\circ である.

は真であるといえる.
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