ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

柔らかい土をふんで (3)

前の記事を書いてからあまり読んではいないが、「ロング・グレイ・ライン」のところを見ていると「家具の埃をはらっていた女中が歌を口誦む」ところがあって、最初その歌は、“Oh, Genevieve” だと思っていたんだが、歌詞はこう書いてある。

お、お、いと、しいジュヌヴィエーヴ、おお、いとしいジュ、ヌヴィエ——ヴ、おお、うなばらを、おおうなばらをわたって、なんじをつれもどさん、つれもどさん、みどりなすふるさとへ、ばらのいろのほおはあせ、かみはしろく、ひとみのかがやきうすれようとも、おお、ジュヌヴィエーヴ、うなばらをわたって、なんじをつれもどさん、みどりなすふるさとへ

そう、ちゃんと読むとこの歌詞は “Oh, Genevieve” と “I'll Take You Home Again, Kathleen” が合成されているのである。『ジョン・フォード論』の「ジュンヌヴィエーヴとキャスリーン、そして……」(p. 171) を参照するまでもなく、この二曲はジョン・フォード騎兵隊三部作の『アパッチ砦』(1948)、『リオ ・グランデの砦』(1950) でそれぞれ使われている。なお、以前にも書いたことがあるが、“Oh, Genevieve” は、ホークスの傑作『教授と美女』(1941) でも終盤に使われている。

そうすると冒頭の「柔らかい土をふんで」の章の「黄色い筋の入ったブルーのズボンの制服に白い帽子を被った騎兵隊員」が出てくる映画はやはり騎兵隊三部作の唯一のカラー映画である『黄色いリボン』(原題は “She Wore a Yellow Ribbon”, 1949) なんだろう。