記事 (255) で, 年の東大文科の問題を解いたが, そのお蔭で今回の 年の神戸大の問題には, 新たな気づきがあった.
前の東大の問題の最後の方で, 問の方程式を変換して,
を得たが, 今回の問題はこの変換した方の方程式が対象になっている. 直前の記事の内容も踏まえつつ, 今回の問題にそって, もう一度, 見直してみる. まず, この方程式が有理数係数の範囲で既約であることを確認しておく. 次式のときは, 因数分解すれば, 必ず 次式を含むからこれを利用すればよいのだった.
として, だと仮定する (, は互いに素の整数, ). すると,
から,
となって, と は互いに素だから, であることがわかる. すると, だが, 素数で割ると矛盾するから, 可能性があるとしたら, だけである. しかし, も も にはならないので, は有理数係数の範囲では因数分解できない (既約である).
の判別式 は,
となって, となる.
判別式の平方根を添加して, 有理数の基礎体を中間的に拡大し (ようとし) ても, 有理数体のままというのは重要で, ガロア理論によれば, ガロア群はこのとき, 一般の位数 の 次対称群ではなく, 位数 の巡回群になる. それが, 今回の問題の背景であろう. つまり, 解の置換を引き起こす写像 (自己同型写像という) の集合が の巡回群 () になるということである. この問題では, 自己同型写像が具体的にわかるのがとても面白い (もちろん, と違って, 自己同型写像はもとの基礎体の要素を引き継いた要素に対しては, 値が変わらないように定義されているので同一といっているのではない). ただ答を出すだけならなんということもない問題であるが……
【問】
【解】
から極大値は, , 極小値は でとる. , , , から, 題意は成立する.
で, なので, であり, となる. このとき, である.
で, なので, であり, がとりうるのは, または, となる. もし, だとすると,
となるが,
つまり,
これから,
となって, 不適. したがって, である.
最後に, で, なので, であり, となる.
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