ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

陥没地帯 (167)

グラフ  y = f(x)x 軸方向に p, y 軸方向に q 移動したときのグラフ  y = g(x) がどう表せるのかというのに混乱する子が多い。

うーん!?……

移動後のグラフ  y=g(x) 上の点  (x, y) は  (x, g(x)) と表せるが、その座標は、グラフ  y = f(x) の点  (x-p, f(x-p))  x 方向に  p,  y 方向に q だけ移動させることによっても表すことができるのだから、

 (x, y) \\= (x, g(x)) \\= (x-p, f(x-p))+(p,q) \\=(x, f(x-p)+q)

となり、

 y = f(x-p)+ q

結局、

 y -q = f(x-p)

である。平面の任意の点  (x,y) が、 y = g(x) を満たすことと  y -q = f(x-p) を満たすことは同値である。

数 III を含めて、グラフ  F(x,y) = 0 (陰関数表示で表したが,  y = f(x) の陽関数表示でも同じ) の変換が 下のように 7 つほど高校数学に出てくる。最初に出てくるのは数 I の二次関数のところかなあ。このうち 1),2),6) が混乱しやすい。

1) x 方向に p, y 方向に q 平行移動

 F(x -p, y -q) = 0


2)  x 方向に p 倍, y 方向に q 倍拡大/縮小 ( p,q \neq 0)

 \displaystyle{F\left (\frac{x}{p}, \frac{y}{q}\right ) = 0}


3)  x 軸に対称移動

 F (x, -y) = 0

 y= a に対称移動するには,
 F (x, y+a)=0, F(x, -y+a)=0, F(x, 2a-y)=0 と順に考えればよい

4)  y 軸に対称移動

 F(-x, y) = 0

 x = a に対称移動するには,
 F (x+a, y)=0, F(-x+a, y)=0, F(2a-x,y)=0 と順に考えればよい

5) 原点に対称移動

 F(-x, -y) = 0

 (a,b) に対称移動するには,
F(2a-x, 2b -y)=0

6) 原点を中心として  \theta だけ回転移動

 F(x\cos \theta + y \sin \theta, - x\sin \theta + y\cos \theta)=0

※ 複素数の知識から, 点  x + iy -\theta だけ回転した点,

 (x + iy)(\cos \theta - i \sin \theta)

を計算して実部、虚部を求めればよい。


7) 逆像 (y = x に関して対称移動)

 F (y, x ) = 0


高校数学の標準的な例題としては、以下のようなものである。

【問】次の円の周上の点  A(4,6) における接線の方程式を求めよ。

 (x-1)^2 + (y-2)^2=25

【解】
(-1, -2) だけ平行移動すると、点 A(3,4), 円の方程式は  x^2 + y^2=25 に移る。(3,4) を通る  x^2 + y^2=25 の接線の方程式は、

3x+4y=25

であり、この接線を (1,2) だけ平行移動して、求める接線の方程式、

 3(x-1)+4(y-2)=25
 3x+4y=36

を得る。//