ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

陥没地帯 (116)

ゴダール の『はなればなれに』(1964) のダンスシーン。当時の出演者達は、このダンスをマディソン・ダンスと呼んでいたらしいが、50 年代の終わり頃から米国で流行したマディソン・ダンスとは音楽も振付も違うものである。当時のマディソン・ダンスはそのいくつかを YouTube で見ることができるが、こちらの方がはるかに良い。真ん中の女性はもちろんアンナ・カリーナ、右側のスーツを着ている男はサミ・フレー、左側のセーター を着ている男はクロード・ブラッスールである。撮影はラウル・クタール、音楽はミシェル・ルグラン。蓮實さんは女性に男ものの帽子を被せるのが、小津安二郎の『その夜の妻』 (1930) に端を発すると書いているが、前にも書いたように、W. A. サイター監督でコリーン・ムーアが主演している『踊る青春』(Why Be Good?, 1929) に女性に男物の帽子を被せる短いショットがあるので、アメリカ映画に起源があるのではないかと思っている。