小学生に「割合」とか「食塩水の濃度」とか「速さ」を教えていて, 噂に違わず習得に困難さがあるのだなあと感じた (だからといって「はじき (みはじ)」だの「くもわ」だのを教えるつもりは全くない).
そもそも, 「長さ」と 「時間」のような異なる量同士を足したり, 引いたりすることに意味はないと思うが, 異なる量同士を掛けたり, 割ったりすることには意味がある. そのことに意味があると一番感じるのは, たとえば, 現在地から雷までの距離を音の届く時間で測ったり, 山の高さを平野部との温度差で測ったりするときだ. 算数でいう 「比べられる量」と「もとになる量」は何かを測定することを考えれば異なる種類の量であっても別に構わないことがわかるので広く解釈できるし, 何を測るかの状況次第で, どちらの量が 「比べられる量」で「もとになる量」であるかは入れ替えて考えることができる (だから つも公式は要らない). しかし,「割合」という言葉は同種の量同士を想起させて意味が狭く, だからといって遠山啓の「内包量」はまっぴら御免だし, 一番よいのは数学用語の「測度」ではないかという気がするが, まあ名前はどうでも良いという気もする. いちいち「割合」と「度合」を区別するのは, 同種の量と異種の量を区別するためだろうが, そこに境界線を引くと何の役に立つのかわからない.
以上のことを念頭に入れて次の問題を考える.
【問】
, 間を行きは時速 km, 帰りは時速 km で走ります. このとき, 往復の平均の速さは時速何 km になりますか.
(解)
この問題の場合, 距離を時間で測るより, 時間を距離で測った方が明らかに良い (なぜなら往復の距離は一定で等しいから).
そうすると単位距離 (= 1 km) を進む時間は行きは, (時/km) で帰りは, (時/km) である. 単位距離 (= 1 km) を進む平均時間は,
(時/km)
したがって, 平均の速さは,
(km/時)
である.//