のように の位の数字が同じで, の位の数字の和が になる場合は簡単に計算ができた. これは, 計算結果の の位が,
と簡単になる (キリがよくなる) からである.
そうすると, のように の位の数字が同じで, の位の数字の和が にならない場合は,
なので, として,
とすぐに計算できる. 補正項が入るだけだ. 他の例として,
今度は, のように の位の数字が同じでなく, の位の数字の和が になる場合を考えてみると,
だから, として
である. 他の例として, 今度は を に揃えて
である.
最後に の場合のように の位も の位も異なる場合は,
したがって, として,
となって, 結構簡単である. 補正項は の倍数しか出ない. これだったら, 少し慣れると素早く暗算できそうである (従来のたすきがけ法と併用し積和が大きな値になりそうなときに使って暗算を楽にする). 「ノリ式」とでも名づけるか。どちらか片一方の の位と の位の数字だけを変更することに注意する. 尚, 数字の変更が一箇所で済む, 最初の二つの例のような場合には, 積和のかけ算が一回だけになり, 足し算もいらないのだから, 明らかに利点がある. 他にも繰り上がりがきれいになるパターンはあるので, 一回だけの修正で済む場合は多々あるものの, すべての二桁 × 二桁の計算を 回だけの修正でカバーすることはできないと思われる. (それとも計算パターンの事前ストックを増やせば原理的には可能なのか, 考察できていない.)
他の例もやってみる.
※ 実際の暗算プロセスを以下の例であげておく. やり方はいろいろあると思うが自分が暗算するときのやり方を書いた.
1) まず, の数字から十の位が同じで, 一の位同士をたすと になる を求める. と とを比べて, 十の位は , 一の位は である. 最初のうちは, この数字を の上にメモしてもよい.
2) 積和,
を計算する (「ウチウチ, ソトソト」をかける). 結果は覚えておく.
3) 十の位同士をかけて とし, 結果に積和の十の位の を足し とする. は使ったので, 積和の結果を と覚え直す. さらに に を足して とする ( は元の計算式をみれば書いてある. 迷うのであれば左側の数字は変更しないなどと決めて, 左側の十の位を使うようにすればよい). この数字も加えて, , と覚える.
4) 一の位同士をかけて とし, 十の位の と を足して とし, 順番に , , と覚える.
5) とし, 末尾に をつけて, として結果を得る.
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