ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

陥没地帯 (258)

1989 年, 京大理系の問題. データは規格化して扱うという方針で最初やってみたが, 結局最後はそんなことをしなくても解けることがわかった, あっけない問題である.

【問】
 n 個 ( n \geq 3 ) の実数 a_1,\ a_2, \cdots,\ a_n があり, 各  a_i は他の  n-1 個の相加平均よりも大きくはないという. このような, a_1,\ a_2, \cdots,\ a_n の組をすべて求めよ.

【解】
まず,  a_1 = a_2 = \cdots = a_n であれば, 明らかに条件をみたす.

 a_i がすべて等しくない場合, 少なくとも 1 つは, a_1,\ a_2, \cdots,\ a_n の相加平均よりも大きくなり, 少なくとも1 つは, 相加平均よりも小さくなる*1. いま, 相加平均よりも大きくなるもののいずれかを  a_1 としても一般性を失わない.

すると,

 \displaystyle{
a_1-\frac{a_1 + \cdots +a_n}{n}
\\=  \frac{(n-1)a_1}{n} -\frac{a_2+ \cdots +a_n}{n}>0}

だから,

 \displaystyle{
a_1 > \frac{a_2+ \cdots +a_n}{n-1}
}

が出て, 他の  n-1 個の相加平均よりも大きい  a_i が存在する.

したがって, 実数 a_1,\ a_2, \cdots,\ a_n a_1 = a_2 = \cdots = a_n であることが必要十分条件である.
//

*1:有限個の自然数の組は (実数とは異なり) 必ず最大値と最小値が存在する.  a= \max(a_1, \cdots, a_n),  b= \min(a_1, \cdots, a_n) とすれば,  \displaystyle{\frac{\overbrace{b + \cdots +b}^{n}}{n} \leq \frac{a_1 + \cdots +a_n}{n} \leq \frac{\overbrace{a + \cdots +a}^{n}}{n}} となる. ここで, (少なくともひとつの) 等号が成立することと,  a =b であることは同値である.