塾で数 とかやっていて
直線 に関して、点 と対称な点を とするとき、複素数 を求めなさい。
とかいう問題を見ていると、僕の頃は数学教育の現代化とか言われていた頃で複素数平面はやらなかったし、二次元の回転は行列で行うことを習ったので、今でもまずそちらで考えてしまうから怖しい。
いろいろな求め方があるのだが、 軸と直線 とがなす角を とし、 と 軸に対称な点 を反時計回りに 回転するというのが一つあるだろう ( の回転は図から簡単に確認できる)。つまり、
を計算すればよい。これは、元の座標であらわせば、
ということだから、
という変換を施すことである。
なので
であるが、
なので直線の傾き を直接代入してもよい。このことから、
である。
複素数平面だと、 を 回転すればよい。
これは、複素数平面で を とおき、 上の点として
をとると、 を実数 () として、
となるが、 なので、 である。したがって、
として求めるのと同じことである。最後の括弧の中の式は を 回転して、その共役をとって実軸で折り返し、それを 回転しても同じだということを示している。別の言い方をすると、 だから、
は、いわば を「実軸」とするように座標系の変換をすることだということである。この見方で点 の に投ずる正射影の座標を求めるには、
から、
とすればよい (これから複素領域での内積がどう表されるかは容易にわかるので、複素電力や量子力学の内積に初めて出くわしたときに頭の中が真っ白にならなくてもすむわけだ)。なお、この計算の虚部から垂線の長さも同時にわかる。
なお、原点と を結ぶ直線と実軸のなす角を として をオイラーの公式を使った極形式で と表せば、対称点は
正射影は、
だということを言っているにすぎない。
もうひとつ別のやり方をあげると、求める線形写像は、
を充すもので、一次変換は、 の標準基底における表現にすればよいのだから、
となり、
である。なお、 の行列ではありがたみはまったくないが、掃出し法の列変形を使えば逆行列を右からかけた行列積が一度に求まる (行変形だと逆行列を左からかけた行列積が求まる)。
ちなみに、 点 が直線 上に投ずる正射影を求めたいのであれば、
を充す線形写像を求めればよいので、
となり、正射影の座標は
である。
直線 に対する対称変換を一般化しておくと、
を充すものだから、一次変換行列は、
となる。最後は とすればよい。この行列の行列式はもちろん である。
数 で習うもっともオーソドックスといえるかもしれない方法が二つほどある。点 の座標を とおいて直線 と が直交する条件から、
と の中点が 上の点であることから
を連立させて解いて を求める方法である。
次のは、 点から に下ろした垂線の長さは、
である。そうすると、
を計算すればよい。同じようなやり方として、 の 上の正射影のベクトルを との内積から、
と求めておいて
を計算してもよい。
最後に四元数を使って三次元で 度回転させるというのもあるなあ。これが一番簡単かもしれない。