インフォデミックを助長するような記事で申し訳ないが、新型だろうがそうでなかろうが感染症予防の基本として高度なエビデンスが存在しているのは手洗いであり、統計データはともかく、そんなこと小学生のときに習わなかったのかなあと思っていたら、バングラデシュのように水道の水自体が汚染されていたらどうなんだろうと不図考えたり、自分が小学生だったとき給食前に流れた「石けんで手を洗おう」という校内放送と、あの黄色いレモンのような石けんと、それを蜜柑を入れる赤いネットに入れて学校の流しに並んだ蛇口に吊るしてあったのを思いだして、妙に甘酸っぱい気分になった。あのレモン石けんは今でも販売しているらしい。
給食前に流れていた音楽は、世代によって聞いている曲が異なるらしい。僕の頃は前川陽子さんが歌っていたはずである。前川陽子さんは 13 歳のときに『ひょこりひょうたん島』(1964) で主題歌デビューしているし、『魔法使いサリー』のエンディング (初期の「魔法のマンボ」) や、『キューティーハニー』の主題歌などで有名だが、もちろん当時はその秘かな関係に気が付くよしもなかった。
テレビのアニメ番組は覚えていても、そこで番組主題歌を歌っていた歌手たちの名前は憶えていないというのが 60 年代の特徴かもしれない。たとえば『とんがり帽子』という 1947 年の曲から真っ先に思い出すのは、それを歌った「川田正子」という少女歌手の名前であり、ラジオドラマ『鐘の鳴る丘』ではない。同じように『里の秋』『みかんの花咲く丘』も、戦中・戦後に活躍した歌手の固有名詞に忘れがたく結びついている。他にも川田孝子、安田祥子/章子、松島トモ子、小鳩くるみなんかがいるなあ。もっと時代を遡ると平井英子という大歌手をはじめ、河村順子や大川澄子なんかがいる。それに比べて、前川陽子、堀江美都子、嶋崎由里といった名前は、少なくとも当時は比較的無名だったと思う。