ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

4. 群作用


4-1. 群作用

 G と集合  X に関して、 G \times X \to X の写像

 (g, x) \mapsto g\cdot x

が与えられていて、次の二つの条件を満たすとき、 G X に (左から) 作用するという。

1)  (gh)\cdot x = g\cdot (h\cdot x) \quad (g, h \in G, x \in X)

2)  e \cdot x = x \quad (e G の単位元)

※ 右からの作用も同時に定義できる。
 G と集合  X に関して、 X \times G \to X の写像

 (x, g) \mapsto x \cdot g

が与えられていて、次の二つの条件を満たすとき、 G X に右から作用するという。

1)  x \cdot (gh) = (x\cdot g)\cdot h \quad (g, h \in G, x \in X)

2)  x \cdot e=x \quad (e G の単位元)
//

G と、集合  X における「自己同型写像 (automorphism) 」全体が作る自己同型群  \mathrm{Aut}(X) において、「作用」があれば G \mathrm{Aut}(X) の準同型を与える準同型写像 \varphi が決まり、逆に準同型写像  \varphi が与えられれば、群 G の作用である。つまり、「作用」と 準同型写像  \varphi は同値である。

(証明)

まず、 G X への作用があるとする。任意の  g \in G, x \in X について、

 g \cdot x := \varphi_g (x)

と定める。

 \varphi_{gh}(x) \\
= (gh) \cdot x = g \cdot (h \cdot x) 
= g\cdot \varphi_h(x)=\varphi_g(\varphi_h(x))

から、

 \varphi_{gh} = \varphi_g\circ \varphi_h

となるので、 \varphi は群準同型である。

 \varphi_g \in \mathrm{Aut}(X)

であることを示すため、 \varphi_g が単射であること、全射であることを順に示す。

※ 念のため、 \varphi は準同型写像であり、 \varphi_g はその値である  \mathrm{Aut}(X) の自己同型写像である。//

まず単射であること。

 \varphi_g (x) = \varphi_g (y)

であると仮定すると、

 g\cdot x = g \cdot y

である。

 x = e \cdot x = (g^{-1}g)\cdot x \\
= g^{-1}\cdot(g \cdot x)=g^{-1}\cdot \varphi_g(x)

これと、

 \varphi_g(x) = \varphi_g(y)

から、

 x = g^{-1} \cdot \varphi_g(y) =
g^{-1} \cdot (g \cdot y) = y

であり、

 \varphi_g (x) = \varphi_g(y)

ならば、

 x = y

である。すなわち、 \varphi(g) は単射である。

次に全射であること。

任意の  x \in X に対して、

 x \\
= e \cdot x \\
= (gg^{-1})\cdot x \\
= g \cdot \varphi_{g_{-1}}(x)\\
=\varphi_g( ( \varphi_{g^{-1}}(x) )

である。作用は定まっているので、全射がいえる。

以上より、 G から  X の作用があれば、群準同型写像  \varphi: G \to \mathrm{Aut}(X) がある。

逆に、群準同型写像  \varphi: G \to \mathrm{Aut}(X) が与えられたとき、

 g \cdot x \mapsto \varphi_g (x)

は、

 (gh)\cdot x = \varphi_{gh}(x) = \varphi_g \circ \varphi_h (x) =g\cdot (h\cdot x)

 e\cdot x = \varphi_e(x) = 1(x) = x

から作用を与える。//

※ 同型に関係する英語は以下のようになる。

準同型: homomorphism
同型: isomorphism
自己準同型: endomorphism
自己同型: automorphism //

4-2. 軌道

 G が集合  Xに作用するとき、 x \in X に対し、

 O_G(x) = G \cdot x =\{g\cdot x| \forall g \in G\}

 x を通る  G の軌道 (G-orbit) と言う。//

軌道と呼ばれる  X の部分集合は、 X の同値類となる。この類別のことを「軌道分解」と呼ぶ。軌道が一つしかない、つまり  X の任意の元  x について

 G\cdot x = X

が成立するとき、 G X に「推移的に作用する」という。

実際、軌道  O_G(x), O_G(y) について、

 O_G(x) \cap O_G(y) \neq \emptyset

ならば

 O_G(x) = O_G(y)

であることは、すぐに確認できる。

(証明)

 z \in O_G(x) \cap O_G(y)

とする。すると

 z = g\cdot x =h\cdot y

となる

 g,h \in G

が存在する。すると、

 x = (g^{-1}h) \cdot y \in O(y)

となり、

 O_G(x)=G\cdot x \subset O_G(y)

となる。同じようにして

 O_G(y) \subset O_G(x)

もいえるので、

 O_G(x)= O_G(y)

である。//

つまり、同値関係  \underset{\,_G}{\sim} による軌道分解 (類別)、

 \coprod_{i \in I} O_G(x_i)

は、商集合  X/\underset {\,_G}{\sim} を与える。

4-3. 固定化部分群

集合  X の部分集合

 Y \subset X

を考え ( Y はしばしば  X の一点の集合である)、群  G の部分集合

 Z_G(Y) := \{g \in G| g\cdot Y = Y\}

を考えると、 Z_G(Y) は、 G の部分群となり (証明は容易なので省略する)、 Y の固定化部分群 と呼ぶ。

 x \in X に対して  G の部分群

 Z_G(\{x\}) = Z_G(x)

を求めると、その剰余集合  G/Z_G(x) と 軌道  O_G(x) は、準同型写像

 G/Z_G(x) \to O_G(x), \quad gZ_G(x) \mapsto g\cdot x

が全単射になることで、同型となる (自然な同一視ができる)。

(証明)

任意の  g \in G について

 f(gZ_G(x)) = g\cdot x

を考え、 f の終域を  O_G(x) にとれば、軌道の作り方から、明らかに  f は全射である。いま

 h\cdot x = g\cdot x \in O_G(x)

とすれば、

 x = (g^{-1}h)\cdot x

なので、

 g^{-1}h \in Z_G(x)

である。つまり、

 h \in gZ_G(x)

であり単射である。//

以上から、 G が有限群ならば、 Z_G(x) は部分群であることから

 |G| = |O_G(x)| |Z_G(x)|

となる。つまり軌道の要素の個数は、 G の位数の約数となる。

4-4. バーンサイドの補題

対称性を考慮して数え上げを行う「バーンサイドの補題」に触れておく。この補題を更に発展させたものに「ポリアの定理」があるが、ここではは触れない。

4-3 の結果を使って、
G の作用で固定される集合  X の要素の数を計算する方法を考える。

直積集合  G \times X の次のような部分集合を考える。

 S=\{(g, x)\in G \times X| g \cdot x = x\}

この集合の濃度 (要素の数) |S| を数えるのに、普通は  g を固定して、そのときの  x を数えるか、逆に  x を固定して  g を数えるかのどちらかであろう。どちらで数え上げても、結果は同じである。つまり

 |S| \\
= \sum_{g \in G} |Fix(g)| \\
= \sum_{x \in X} |Z_G(x)|

が成り立つ。

いま、 G の軌道  O_G(x_i) n 個あるとすると、

 X = O_G(x_1) \coprod \cdots \coprod O_G(x_n)

と書ける。後で証明するが、ポイントは、

 x \in O_G(x_i)

ならば

 Z_G(x) = Z_G(x_i)

という性質があることである。

この性質を認めるとすると、

 \sum_{g \in G} |Fix(g)| \\
= \sum_{x \in X} |Z_G(x)|\\
= \sum_{i=1}^{n} |O_G(x_i)||Z_G(x_i)|

前回の記事の最後の結果は、

 |G| = |O_G(x_i)| |Z_G(x_i)|

だったから、

 \sum_{g \in G} |Fix(g)| = n|G|

となり、

 n = \frac{1}{|G|} \sum_{g \in G} |Fix(g)|

が結果である。//

上で使った  x \in O_G(x_i) ならば  Z_G(x) = Z_G(x_i) であることを証明しておく。

(証明)

 x \in O_G(x_i)

とすると

 a\cdot x_i = b \cdot x

となる  a, b \in G が存在する。 b^{-1}a = h とすると、

x= h \cdot x_i

 g \in Z_G(x_i) とすると、

 (hgh^{-1})\cdot x \\
=(hg)\cdot x_i\\
=h\cdot x_i \\
= x

つまり、

 hZ_G(x_i)h^{-1} \subset Z_G(x)

同じようにして

 h^{-1}Z_G(x)h \subset Z_G(x_i)

つまり、

 Z_G(x) = hZ_G(x_i)h^{-1}

となる。

 |hZ_G(x_i)h^{-1}|\\
=|h(Z_G(x_i)h^{-1})|\\
= | Z_G(x_i)h^{-1}|\\
= | Z_G(x_i)|

だから、

 |Z_G(x)| = |Z_G(x_i)|

となる。//

例えば、ネックレスの正六角形の頂点に相当する部分に  k 種類の異なる宝石を重複を許してつけるとし、回転とひっくり返しを区別しないとする。

まず、集合  X として、

 x= (c_1, \cdots, c_6)

とし、第  i 番目の座標  c_i は、正六角形の  i 番目の頂点にどんな宝石をつけたかを表しているとする。

また、群 G の要素としては 反時計回りに 60 度の回転を  \sigma として  e, \sigma, \sigma^2, \sigma^3, \sigma^4, \sigma^5 が正六角形の頂点の回転を現すものとして存在し、鏡映変換として 反時計回りに 30 度ずつ中心を通る六本の対称軸を考え、それを  s_1, s_2, s_3, s_4, s_5, s_6 とする。

まず 作用が  e のときは、 ex = x だから、 |Fix(e)| = |X| = k^6 である。

作用が \sigma のときは、
c_1=c_2=\cdots=c_6 で自由度 (?) は一つしかなく、|Fix(\sigma)|=k である。

作用が  \sigma^2 のときは、
c_1=c_3=c_5, c_2=c_4=c_6 を満たす場合で |Fix(\sigma^2)|=k^2 となる。

作用が  \sigma^3 のときは、
c_1=c_4, c_2=c_5, c_3=c_6 を満たす場合で |Fix(\sigma^3)|=k^3 となる。

作用が  \sigma^4 のときは、
c_1=c_3=c_5, c_2=c_4=c_6 を満たす場合で |Fix(\sigma^4)|=k^2 となる。

作用が  \sigma^5 のときは、
c_1=c_2=c_3=c_4=c_5=c_6 を満たす場合で |Fix(\sigma^5)|=k となる。

 s_1\cdot x =(c_1,c_6, c_5, c_4, c_3, c_2)のときは、 c_1, c_2=c_6, c_3=c_5, c_4 を満たす場合で |Fix(s_1)|=k^4 となる。

対称軸が頂点を通る場合はみな同じなので

|Fix(s_1)|= |Fix(s_3)|= |Fix(s_5)|= k^4

である。対称軸が辺の中点を通る場合はペアが三つなので

|Fix(s_2)|= |Fix(s_4)|= |Fix(s_6)|= k^3

である。

以上より、宝石の付け方の数 (つまり G 軌道数と呼ばれる、群作用にもとづく同値類の数)  n は、

 n = \frac{1}{12}(k^6 +3k^4+ 4k^3+2k^2+2k)

となる。

4-5. 共軛作用

いったん群の「作用」という概念が定まれば、今度は群のそれ自身への「作用」というのも定義できる。一番最初の「置換 (permutation)」で取り上げた「共軛 (conjugate)」が内部自己同型 (inner automorphism) 射として出てくる。共軛作用による自己同型を「内部自己同型」、それ以外の自己同型を「外部自己同型」(outer automorphism) と呼ぶ。

 G G の要素  x への作用を次のように定義する。

 (g, x) \in G \times G \mapsto gxg^{-1} \in G

これを明示的に写像として

 i_g(x) = gxg^{-1}

と書くことにする。これが作用になるのは、

 i_{gh}(x)\\
=(gh)x(gh)^{-1}\\
=(gh)x(h^{-1}g^{-1})\\
=g(hxh^{-1})g^{-1}\\
=i_g(i_{h}(x))

 i_{e}(x) = exe^{-1} = x

となることから明らかであり、写像  i_g は自己同型写像であることも、すぐに確認できる。全単射であることは、同値である逆射を示せばよく、 i_g の逆射が  i_{g^{-1}} であることに気をつければよい。

 i_g(i_{g^{-1}}(x))\\
= i_g(g^{-1}xg)=id (x)

 i_{g^{-1}}(i_g(x))\\
= i_{g^{-1}}(gxg^{-1})=id (x)

準同型であることは、

 i_g(xy)\\
= g(xy)g^{-1}\\
=(gxg^{-1})(gyg^{-1})\\
= i_g(x)i_g(y)

である。

この「共軛作用」にもとづく自己同型のことを「内部自己同型」と呼ぶ。

共軛作用の  G 軌道 (特に「共軛類」と呼ぶ) は、

 O_G(x) \\
= \{i_g(x)| g \in G\}\\
= \{gxg^{-1}| g \in G\}

だが、 y \in O_G(x) のとき、 x, y は同値関係にあり、共軛であるという。

 x の固定 (化) 部分群 (特に「中心化群」と呼ぶが、 H G の部分群の場合は、Z_G(H) N_G(H) と書いて「正規化群」と呼ぶことが多いため、固定部分群自体を「正規化群」と呼ぶこともあるようだ) は、

 Z_G(x) \\
= \{g \in G| i_g(x) = x\}\\
=\{g \in G| gxg^{-1} = x\}\\
=\{g \in G| gx = xg\}

で示されるように、 x と可換な G の要素全体が作る群になる。すでに調べたように、 x を含む共軛類は、 G/Z_G(x) と同型である。


 G に対して、

 Z(G) = \{g \in G| \forall x \in G, gx =xg\}

 G の「中心」と呼ぶ。

明らかに

 e \in Z(G)

だから、

 Z(G) \neq \emptyset

また、

 Z(G)=\bigcap_{x \in G}Z_G(x)

である。

 g_1, g_2 \in Z(G)

とすれば、 \forall h \in G について、

 (g_1g_2)h \\
=g_1(g_2h)\\
= g_1(hg_2)\\
=(g_1h)g_2\\
=(hg_1)g_2\\
=h(g_1g_2)

となり、

 g_1, g_2 \in Z(G) \Rightarrow g_1g_2 \in Z(G)

となる。また、

 g_1h =hg_1\\
h = g_1^{-1}hg_1\\
h g_1^{-1} = g_1^{-1}h

となるので

 g  \in Z(G) \Rightarrow g^{-1} \in Z(G)

である。したがって  Z(G) は部分群である。また定義から  Z(G) はアーベル群である。 G がアーベル群ならば、

 G = Z(G)

であることはすぐにわかる。

更に  \forall g \in Z(G), h \in G について、

 hgh^{-1} = g なので  \forall g \in Z(G), h \in G \Rightarrow hgh^{-1} \in Z(G)

は真であり、したがって  Z(G) G の正規部分群である。

 Z(G) \triangleleft G


「中心」の要素、

 x \in Z(G)

に対してその共軛類は、

 O_G(x)= \{x\}

であり、ただひとつの要素のみである。なぜならば、

 \forall g \in G,\quad  gxg^{-1}= x だからである。つまり、

 |O_G(x)|=1 \Leftrightarrow  x \in Z(G)

このことから、 |Z(G)| = r だとすると、

 |G| = |Z(G)| + \sum_{i=r+1}^N|O_G(x_i)|

が成立し、「類等式」と呼ばれる。なお、 |O_G(x_i)| は、前の記事の結果から  G の位数の約数である。

4-6. 内部自己同型群

「内部自己同型」という言葉は、 G 自身の要素から得られる自己同型という意味だと思う。4-5 から、

 i_g: G \to G, x \mapsto gxg^{-1}

であって、これが自己同型であったが、

 i: G \to \mathrm{Aut}(G),\quad g \mapsto i_g

は、「作用」で説明したように、準同型となり、この  i の像  \mathrm{Im}\,i \mathrm{Inn}(G) と書き、「内部自己同型群」と呼ぶ。内部自己同型群は、 \mathrm{Aut}(G) の部分群であることがすぐにわかる。

準同型  i の核  \mathrm{Ker}\, iは、

 i_g = id_G

であることを考えると、

 \forall x \in G, \quad gxg^{-1} = x

ということなので、 G の中心  Z(G) と一致する。したがって、準同型定理より、

  G/Z(G) \simeq \mathrm{Inn}(G)

が成立する。また、

 \mathrm{Inn}(G) は、 \mathrm{Aut}(G) の正規部分群である。

  \mathrm{Inn}(G) \triangleleft \mathrm{Aut}(G)

なぜなら、 \forall \tau \in \mathrm{Aut}(G) について

 \tau i_g \tau^{-1}(x)\\
= \tau(g\tau^{-1}(x)g^{-1})\\
= \tau(g)\tau(\tau^{-1}(x)g^{-1})\\
= \tau(g)x\tau(g^{-1})\\
= \tau(g)x\tau^{-1}(g)\\
= i_{\tau(g)}(x)
 \therefore i_{\tau(g)} \in \mathrm{Inn}(G)

だからである。

4-7. 共軛作用の例

置換は、群  G から集合  \{1,2, \cdots, n\} への作用だと思えばよい。実際、

 \sigma(1,2,\cdots, n) = (\sigma(1), \sigma(2), \cdots, \sigma(n))

と定めれば、実際に作用になっていることがすぐに確認できる。

巡回群  \langle \sigma \rangle を考え、

 \sigma= \begin{pmatrix}1&2&3&4&5&6&7&8&9\\
9&7&5&4&3&8&2&1&6
\end{pmatrix}

とすると、

 \sigma^2= \begin{pmatrix}1&2&3&4&5&6&7&8&9\\
6&2&3&4&5&1&7&9&8
\end{pmatrix}

 \sigma^3= \begin{pmatrix}1&2&3&4&5&6&7&8&9\\
8&7&5&4&3&9&2&6&1
\end{pmatrix}

 e=\begin{pmatrix}1&2&3&4&5&6&7&8&9\\
1&2&3&4&5&6&7&8&9
\end{pmatrix}

と位数 4 であることがわかる。軌道分解してみると、

 X = \{1,6,8,9\} \sqcup \{2,7\} \sqcup \{3,5\} \sqcup \{4\}


最初の軌道の固定化部分群は \{e\}

次の軌道の固定化部分群は \{e, \sigma^2 \}

三番目の軌道の固定化部分群は \{e, \sigma^2 \}

四番目の軌道の固定化部分群は \{e, \sigma, \sigma^2, \sigma^3 \}

簡単な例ではあるが巡回群  \langle \sigma \rangle をそれぞれの固定化部分群で割ったものが、それぞれの軌道と同型になっていることも確認できる。なお、内部自己同型作用の場合は、固定化部分群を「正規化群」と呼ぶことが多い。

結局、巡回群  \langle \sigma \rangle の作用による軌道分解は \sigma を互いに数字を共通に含まない巡回置換の積に標準分解して書くことと同値である。

 \sigma = (1,9,6,8)(2,7)(3,5)(4)

こうして、任意の有限の長さの置換は、数字を共通に含まない巡回置換の積に分解できることがわかった。任意の巡回置換は互換の積に分解できることはすでに示したので、任意の置換は互換の積に分解できる。

置換の「型 (type)」というのは、置換を標準分解したときに巡回置換の長さとそれぞれの個数  \lambda_i を以下のように形式的に書いたものである。

 \lambda \\
= 1^{\lambda1} 2^{\lambda2} 3^{\lambda3} 4^{\lambda4}\\
= 1^1 2^2 3^0 4^1

共軛変換が同じ型を持ち、パリティも変えないことは、1-1 において、すでに証明済みである。したがって、対称群 S_n の共軛変換を作用に持つ軌道、すなわち共軛類の数は、

 1 \cdot \lambda_1 + 2 \cdot \lambda_2 + \cdots + n\lambda_n = n

を満たす負でない整数解  (\lambda_1, \cdots, \lambda_n) の個数に等しい。つまり、 n の分割数  p(n) である。 p(n) については、その公式は簡単なものではなく、例えば以下のような母関数を使う方法などがある。 p(n)、すなわち、S_n の共軛類の数を最初のいくつかの自然数について挙げておく。

 p(0)=1, \\p(1)=1, \\p(2)=2,\\p(3)=3, \\ p(4)=5,
p(5)=7, \\p(6)=11,\\ p(7)=15, \\p(8)=22,\\ p(9)=30,
 p(10)=42, \\p(11)=56,\\ p(12)=77, \\ p(13)=101,\\ p(14)=135,
 p(15)=176, \\ p(16)=231,\\ p(17)=297,\\ p(18)=385,\\ p(19)=490,
 p(20)=627, \\ p(21)=792,\\ p(22)=1002,\\ p(23)=1255,\\ p(24)=1575,
 p(25)=1958, \\ p(26)=2436,\\ p(27)=3010,\\ p(28)=3718,\\ p(29)=4565,
 \cdots

※ 自然数  n

 n = k(3k \pm 1)/2

と自然数  k を使ってあらわすことができれば

 q(n)=(-1)^k

とし, あらわせなければ

 q(n)=0

 q(n) を定義すると、

(1 + \sum_{n=1}^{\infty}q(n)x^n)(1+ \sum_{n=1}^{\infty}p(n)x^n)=1

という恒等式が成立する。たとえば、p(5) を求めてみると、

 q(1)= -1, q(2)=-1, q(3)=0, \\q(4)=0, q(5)=1

であり、

p(5)=(-1)^{5}\begin{vmatrix}q(1)&1&0&0&0\\
q(2)&q(1)&1&0&0\\
q(3)&q(2)&q(1)&1&0\\
q(4)&q(3)&q(2)&q(1)&1\\
q(5)&q(4)&q(3)&q(2)&q(1)\end{vmatrix}

 =(-1)^{5}\begin{vmatrix}-1&1&0&0&0\\-1&-1&1&0&0\\0&-1&-1&1&0\\0&0&-1&-1&1\\1&0&0&-1&-1\end{vmatrix}

 =(-1)\times\begin{vmatrix}-1&1&0&0\\-1&-1&1&0\\0&-1&-1&1\\1&0&-1&-2\end{vmatrix}

 =(-1)\times\begin{vmatrix}-2&1&0\\-1&-1&1\\1&-1&-2\end{vmatrix}

 =\begin{vmatrix}1&-2&0\\-1&-1&1\\-1&1&-2\end{vmatrix}

 =\begin{vmatrix}1&0&0\\-1&-3&1\\-1&-1&-2\end{vmatrix}

=7
//

特定の共軛類に属する (標準分解での) 置換の数は、以下のコーシーの公式で求めることができる。

 \frac{n!}{1^{\lambda_1 }2^{\lambda_2}\cdots n^{\lambda_n}(\lambda_1!)(\lambda_2!)\cdots (\lambda_n!)}

例として、 S_5 の 7 つの共軛類に属する置換の数を求めると、

 5^1: 4! =24\\
1^1 4^1: 5\cdot3\cdot2 =30
 2^1 3^1: 5 \cdot 4=20\\
1^2 3^1: 5\cdot 4=20
 1^1 2^2: 5 \cdot 3=15\\
1^3 2^1: 5\cdot 2=10
 1^5: 1

24+30+20+20+15+10+1=120 =5!

4-8. シローの定理

有限群の Sylow の定理だが、証明に必要な補題をまずやる。

(補題)

 p を素数とするとき、2 項係数について、

 \begin{pmatrix}p^rq\\p^r\end{pmatrix} \equiv q \pmod{p}

が成立する。

(証明)

2-4 で有限体を係数とする一変数多項式  \mathbb{Z}/p\mathbb{Z}[X] で、

 (1+X)^p = 1 + X^p

となることは示した。

 (1+X)^{p^r} = 1 + X^{p^r}

であることは  r に関する帰納法ですぐに示せる。すなわち、

 (1+X)^{p^r} \\
= (1 + X^{p^{r-1}})^p
= 1+ X^{p^r}

これから、

 (1+X)^{p^rq} \\
= (1 + X^{p^r})^q\\
= 1 +q X^{p^r} + \cdots +X^{p^rq}

最後の式の二項目の係数から、

 \begin{pmatrix}p^rq\\p^r\end{pmatrix} \equiv q \pmod{p}

である。//

シローの定理は以下になる。

有限群  G の位数が素数  p について、|G| = p^rq (q は素数である必要はないが  \gcd(p,q)=1、つまり互いに素) と分解するとき、 G の部分群で位数が  p^r のものを 「シロー p 部分群」という。また  G の部分群で位数が  p^a のものを 「p 部分群」という。ラグランジュの定理より

 0 \leq a \leq r

であり、シロー p 部分群は、群 G の極大  p 部分群となる。

1) 有限群  G には、その位数の素数分解に含まれる任意の素数  p に対して、シロー  p 部分群が必ず存在する (注: 一つとは言っていない)。

2)  G p 部分群はあるシロー  p 部分群に含まれる。

3) シロー  p 部分群は互いに共軛である。すなわち  P_1, P_2 をシロー  p 部分群とすると、

 P_2=gP_1g^{-1}

となる  g \in G が存在する (注: シロー  p 部分群が一つしかなければ、正規部分群である)。

4) シロー  p 部分群の個数を  n_p とすると、 n_p はラグランジュの定理から  |G| の約数であるが、更に

 n_p \equiv 1 \pmod{p}

が成立する。//

※ 例えば、位数 15 の群 G には、シロー 3 部分群  Hとシロー 5 部分群  K が存在する。シロー 3 部分群の個数は、5 の約数である 1, 5 のどれかだが、3 で割って 1 余るのは 1 だけなので、シロー 3 部分群はひとつだけで、したがって正規部分群である。同じようにシロー 5 部分群も正規部分群である。ラグランジュの定理より

 H \cap K= \{e\}

が言え、

 HK \subset G

であるが、

 |HK| = |H||K|/|H\cap K|=15

から、

 HK = G

であり、

 G \simeq H \times K

であることが実はわかる (内部直積の条件を満たす)。しかも  HK の位数は素数であることから巡回群であるので、結局、

 G \simeq \mathbb{Z}/3\mathbb{Z} \times  \mathbb{Z}/5\mathbb{Z}

であり、この場合、35 は互いに素なので、中国剰余定理から、

 G \simeq  \mathbb{Z}/15\mathbb{Z}

でもある。
//

※ 部分群  H, K \in G について、「 HK G の部分群である」ことと、

 HK=KH

であることは同値 (したがって、 H, K のどちらかが  G の正規部分群であれば  HK G の部分群となる)。

(証明)

まず、 HK G の部分群であると仮定する。 HK は部分群なので、

 \forall x \in HK

の逆元が存在し、

 x^{-1} \in HK

である。したがって、

 x^{-1} = hk  \quad (h \in H, k \in K)

と表すことができる。

 x = (hk)^{-1} = k^{-1}h^{-1} \in KH

であるので、

 HK \subset KH

が出る。また、

 \forall y \in KH

について、

 y = kh \,(k \in K, h \in H)

と表すことができるが、

 y \in G

でもあるので、逆元が存在し、

 y^{-1} = h^{-1}k^{-1} \in HK

である。 HK は部分群なので、

 y \in HK

となる。したがって、

 KH \subset HK

も言えるので、

 HK = KH

である。

逆に、

 \forall hk, h^{\prime}k^{\prime} \in HK

について、

 hkh^{\prime}k^{\prime} = (hh^{\prime})(kk^{\prime}) \in HK

であり、同様にして逆元も含まれることを示せる。//

※ 群  G と 群  H に対し、その直積集合  G \times H 上に、

 (g_1, h_1)(g_2, h_2) = (g_1g_2. h_1h_2)

という積を定めると群になることが確認できる。これを群の「外部直積」という。

また、以下の条件がすべて満たされるとき、群 G がその部分群  H_1, H_2 の「内部直積」であるといい、

 G = H_1 \times H_2

で表す (部分群が二つ以上の直積でもよい)。

1)  H_1. H_2 は 群  G の部分群で  G = H_1H_2 が成り立つ。

2)  H_1 \cap H_2 = \{1_G\}
( 1_G G の単位元)

3)  H_1 H_2 = H_2H_1

なお、3) は  H_1, H_2 が正規部分群であれば満たされる。

内部直積と外部直積は自然な埋め込み

 H_1 \to H_1 \times H_2,  h \mapsto (h, 1_G)
 H_2 \to H_1 \times H_2,  h \mapsto (1_G, h)

により、同型である。なお、直積と直和は本来、異なる概念だが、有限の場合は一致する。

例えば、クラインの 4 元群を内部直積で書けば、

 \begin{array}{c|cccc}
&1&a&b&ab\\
\hline
1&1&a&b&ab\\
a&a&1&ab&b\\
b&b&ab&1&a\\
ab&ab&b&a&1
\end{array}

となり、外部直積で書けば以下のようになる。

 \begin{array}{c|cccc}
&(1, 1)&(a, 1)&(1,b)&(a,b)\\
\hline
(1,1)&(1,1)&(a,1)&(1,b)&(a,b)\\
(a,1)&(a, 1)&(1,1)&(a,b)&(1,b)\\
(1,b)&(1,b)&(a,b)&(1,1)&(a,1)\\
(a,b)&(a,b)&(1,b)&(a,1)&(1,1)
\end{array}
//

※ 群  G の部分群を  H_1, H_2 としたとき、以上見てきたように  H_1 H_2 は一般には群とはならないので、
第 2 同型定理の使用は微妙だが、それでも、

 |H_1||H_2|=|H_1 H_2| |H_1 \cap H_2|

という式は成り立つ。

まず、

 \frac {H_1}{H_1 \cap H_2} \simeq \frac {H_1 H_2}{H_2}

が成立すると仮定すれば、

 |\frac {H_1}{H_1 \cap H_2}| =| \frac {H_1 H_2}{H_2}|

だが、剰余類は剰余群とならなくても、各類の濃度はみな等しいので、

 \frac {|H_1|}{|H_1 \cap H_2|} =\frac {|H_1 H_2|}{|H_2|}

となる。したがって、

 \frac {H_1}{H_1 \cap H_2} \simeq \frac {H_1 H_2}{H_2}

が真であることを証明すればよい。つまり、写像

 \varphi:  \frac {H_1}{H_1 \cap H_2} \to \frac {H_1 H_2}{H_2}

が (集合としての) 同型写像になるものを見つければよい。そこで、以下のように、剰余類を剰余類に送るように定義する。

 \varphi (x(H_1 \cap H_2)) = xH_2

この写像が well-defined であることは、

 x \in H_1

であり、

 H_1 \cap H_2 \subset H_2

であることからわかる。また、

 \varphi (x(H_1 \cap H_2)) = \varphi (y(H_1 \cap H_2))

であれば、

 xH_2 = yH_2

ということであり

 y^{-1}x \in H_2

であるが、

 x, y \in H_1

なので、

 y^{-1}x \in H_1 \cap H_2

つまり同じ剰余類に属するので単射である。更に、任意の  xH_2 にたいして、

 x \in H_1H_2

なので、

 x = ab, a \in H_1, b \in H_2

と書ける。

 xH_2 = abH_2 = aH_2

であり、 a \in H_1 であるから、全射である。以上より、写像  \varphi は、同型写像になる。//


シローの定理の証明。まず (1) の証明だけ書く。

1) 有限群  G には、その位数の素数分解に含まれる任意の素数  p に対して、シロー  p 部分群が必ず存在する。

(証明)

 |G| = p^rq
( p は素数、p,q は互いに素)

とする。 G p^r 個の要素からなる部分集合  S をすべて集めた集合  X を考える。すなわち、

 X = \{S \subset G| p^r=|S|\}

集合  X の濃度を求めると、 p^rq 個から  p^r 個とる組合せの数であり、それに最初の補題の結果を適用すると、

 |X| = \begin{pmatrix}p^rq
\\p^r\end{pmatrix} =q \pmod{p}

ここで、 p, q は互いに素であるから、 |X| p では割り切れないことがわかった。

さて、この集合 X に、

 (g, S) \mapsto g S \quad (g \in G)

によって 群  G を作用させる。もちろん、この作用によって集合  S の要素数は変わることはなく、集合 S は変換後も集合  Xに留まる。この  G 作用による Xの軌道分解を

 X= \coprod_i O_G(S_i)

とすると、

 |X| = \sum_i |O_G(S_i)|

である。 |X| p で割り切れないから、|O_G(S_i)| の少なくともひとつは、 p で割り切れないものが存在する。その一つを  O_G(S_0) とし、その固定化部分群を  Z_G(S_0) とすると、

 |G| = |O_G(S_0)||Z_G(S_0)|

だったから、|Z_G(S_0)| は、 p^r の倍数であることがわかる。

ところで、 |Z_G(S_0)| は、 S_0 を動かさない  G の要素の集合だから、 s \in S_0 について

 Z_G(S_0) s \subset S_0

となり、これから、

 Z_G(S_0) \subset S_0s^{-1} = S_0

であり、

 |Z_G(S_0)| \leq p^r

となる。したがって

 |Z_G(S_0)| = p^r

であり、固定化部分群  Z_G(S_0) が シロー  p 部分群である。//


2)  G p 部分群はあるシロー  p 部分群に含まれる。

(証明)

1) でその存在を示したシロー  p 部分群の一つを  S とする。 S の左剰余集合  G/S を考えると、剰余集合の濃度は

 |G/S| =  p^r q / p^r = q

であり  p と素である。

任意の  p 部分群 を  P としてとり、 P を剰余類  G/S に以下のように作用させる。

 p \in P,  \quad (p, gS)  \mapsto  pgS

その作用による軌道分解を以下のように表す。

 G/S = \coprod_i O_P(g_iS)

そうすると、(1) の証明と同様な議論で、 |G/S| p では割り切れないので、どれかの軌道の濃度は、 p で割り切れない。それを  O_P( g_0 S) とおく。ところが、

 |O_P(g_0 S)| = |P|/|Z_P(g_0 S)|

であり、 P p 部分群であったので、その位数は  p^{n} で表され、 |O_P( g_0 S)|  P の位数の約数である。矛盾しないために、

 |O_P (g_0 S)|  = 1

が結論される。これは、以下と同値である。

 \forall p \in P,\quad pg_0 S = g_0 S

これから、任意の  P の要素  p は、

 pg_0s = g_0s^{\prime}

と書けるので、

 p = g_0(s^{\prime} s^{-1})g_0^{-1}

と書け、結局、

  P \subset  g_0 S g_0^{-1}

が言え、任意の  p 部分群は、 S に共軛な シロー  p 部分群に含まれることが示せた。//

3) シロー  p 部分群は互いに共軛である。すなわち  S_1, S_2 をシロー  p 部分群とすると、 S_2=gS_1g^{-1} となる  g \in G が存在する。

(証明)

上の (2) の証明において、 p 部分群を シロー  p 部分群とすればよい。そうすると、

 S_2 \subset gS_1g^{-1}

となるが、 左と右の位数は等しいので、

 S_2 = gS_1 g^{-1}

となる。//


4) シロー  p 部分群の個数を  n_p とすると、

 n_p \equiv 1 \pmod{p}

が成立する。

(証明)

 G に含まれる総てのシロー  p 部分群の集合を

 X = \{S_1, \cdots, S_n\}

とする。

 S \in X

を一つ固定し、 S X に共軛作用させる。すなわち、

 g \in S, \quad (g, S_i) \mapsto  gS_ig^{-1}

そうすると、例によって軌道分解されて、

 X = \coprod_i O_S(S_i)

と表すことができる。 |X| が シロー  p 部分群の個数である。

いま、

 S_i = S

ならば、

 |O_S(S_i)| = 1

は明らかである。逆に

 |O_S(S_i) | = 1

ならば、

 \forall g \in S, \quad gS_ig^{-1} = S_i

となる。これから

 S \subset Z_G(S_i)

が言えるとともに、

 S_i \subset Z_G(S_i)

も自明である。つまり、

 S, S_i \subset Z_G(S_i)

だが、 S, S_i は 部分群  Z_G(S_i)からみても、シロー  p 部分群となるので、(3) から  Z_G(S_i) の要素を使って、

 S = zS_i z^{-1}

と共軛にかける。ところが、固定化部分群 (正規化群) の定義より、

 zS_i z^{-1} = S_i

なので、結局、

 S = S_i

となる。つまり、 S_i = S |O_S(S_i)| = 1 は同値である。

 S_i \neq S のとき、

 |O_S(S_i)| = |S|/|Z_S(S_i)|

で、  |O_S(S_i)| は、

 |S| = p^r

の約数であるが、 1 ではありえないので、 p の倍数である。

したがって、

 n_p \equiv 1 \pmod{p}

が証明された。//


例:

共軛変換を置換で書くと

 (\sigma (s_1),\cdots , \sigma (s_n)) = \sigma (s_1,\cdots, s_n)\sigma^{-1}

である。対称群  S_4 を例にとってみると、共軛類の数は  4 の分割で決まるので、

長さ 4 (計 6):
(1,2,3,4), (1,2,4,3), (1,3,2,4), \\(1,3,4,2),(1,4,2,3), (1,4,3,2)

長さ 3+1 (計 8):
 (1,2,3),(1,3,2),(1,2,4),(1,4,2),\\(1,3,4),(1,4,3),(2,3,4),(2,4,3)

長さ 2+2 (計 3):
 (1,2)(3,4), (1,3)(2,4), (1,4)(2,3)

長さ 2+1+1 (計 6):
 (1,2), (1,3),(1,4),(2,3),(2,4),(3,4)

長さ 1+1+1+1 (計 1)
 (1)

それで  S_4 の位数は   2^3 \cdot 4 なので、約数は

 (3+1)(1 + 1)=8

あって、

 (1+2+2^2+2^3)(1+3)

で形式的に表すことができ、

 1, 2,3,4,6,8,12,24

である。

正規部分群は、共軛な置換を「全部含んだもの」である。すると、候補になるのは、

位数 4

 \{(1), (1,2)(3,4), (1,3)(2,4), (1,4)(2,3)\}

位数12

 \{(1), (1,2)(3,4), (1,3)(2,4),\\(1,4)(2,3) , (1,2,3),(1,3,2),
(1,2,4),\\(1,4,2),(1,3,4),(1,4,3),(2,3,4),(2,4,3)\}

二つしか存在しないことがわかる。実際、位数 4のものは、クラインの4元群であり、位数 12 のものは、交代群である。偶置換をすべて含んでいることが確認できる。

その他の部分群は 位数 124 は自明である。

シロー 3 部分群は、正規部分群ではないから 4 個存在している。位数 3 だから巡回群である。このことから、

 \{(1), (1,2,3),(1,3,2)\}
\{(1), (1,2,4),(1,4,2)\}
 \{(1),(1,3,4),(1,4,3)\}
 \{(1), (2,3,4),(2,4,3)\}

位数 2 の部分群は巡回群である。これは互換のもので、全部で 9 個ある。

 \{(1),(1,2)\}
 \{(1),(1,3)\}
 \{(1), (1,4)\}
 \{(1), (2,3)\}
 \{(1),(2,4)\}
 \{(1), (3,4)\}
 \{(1),(1,2)(3,4)\}
 \{(1),(1,3)(2,4)\}
 \{(1), (1,4)(2,3)\}

位数 4 の部分群は  C_4, C_2 \times C_2 に同型であった。 C_4 のものを探してみると、

 \{ (1),(1,3,2,4),(1,2)(3,4), (1,4,2,3)\}
 \{ (1),(1,2,3,4),(1,3)(2,4), (1,4,3,2)\}
 \{ (1),(1,2,4,3),(1,4)(2,3), (1,3,4,2)\}

3 つあることがわかる。また、 C_2 \times C_2 は、クラインの 4 元群以外にもあって、

 \{ (1),(1,2),(3,4), (1,2)(3,4)\}
 \{ (1),(1,3),(2,4), (1,3)(2,4)\}
 \{ (1),(1,4),(2,3),(1,4)(2,3)\}

以上、位数 4 の部分群は計 7 つ存在している。

シロー 2 部分群は位数 8 で、正規部分群でないから、3 個ある。シローの定理から 2 部分群をすべて含む。しかもクラインの 4 元群は正規部分群なので、シロー 2 部分群すべてに含まれる。そうすると  C_2 \times C_2 \times C_2 を考えるとよい。

 \{(1), (1,2), (3,4), (1,2)(3,4), \\(1,3)(2,4), (1,4)(2,3), (1,4,2,3), (1, 3, 2, 4)\}

 \{(1), (1,3), (2,4), (1,2)(3,4), \\(1,3)(2,4), (1,4)(2,3), (1,2,3,4), (1, 4, 3, 2)\}

 \{(1), (1,4), (2,3), (1,2)(3,4), \\(1,3)(2,4), (1,4)(2,3), (1,3,4,2), (1, 2, 4, 3)\}

位数 6 の部分群はシローの定理から、位数 3 の部分群を自分の正規部分群としてもつ。ようするに S_3 と同型である。

 \{(1), (1,2),(1,3), (2,3), (1,2,3),(1,3,2)\}
\{(1), (1,2),(1,4), (2,4),(1,2,4),(1,4,2)\}
 \{(1),(1,3),(1,4),(3,4),(1,3,4),(1,4,3)\}
 \{(1), (2,3),(2,4),(3,4), (2,3,4),(2,4,3)\}

結果、
位数 1 の部分群: 1 (内、正規部分群 1)

位数 2 の部分群: 9

位数 3 の部分群: 4

位数 4 の部分群: 7 (内、正規部分群 1)

位数 6 の部分群: 4

位数 8 の部分群: 3

位数 12 の部分群: 1 (内、正規部分群 1)

位数 24の部分群: 1 (内、正規部分群 1)

部分群は計 30 ある。

代数入門―群と加群 (数学シリーズ)

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