ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

子音の連続

なんかしつこ過ぎだと自分でも思うのだが、“Love Me Tender” を聞いてみる。

歌詞にある英語と米語で綴りが違う fulfill (米語綴り) という単語は f が 2 回出てきて l が 2 回出てきて、英語の発音や聞き取りの練習にうってつけである。発音は最初の l で側面解放しながら f の子音に移行する感覚は日本語にはないなあ。fulfill は full が入っているし、fill もあるので、なんか「満たされている」という満足感がある気持ちよい (?) 単語である。fulfillment なんて単語もある。エルヴィスの All my dreams fulfill の歌いかたも、「満たされた感じ」が出ていてとてもよいと思う。

ところで、Dream みたいな単語の d と r の間に「お」が聞こえたり、Love me true の true の t と r の間に 「う」が聞こえるのは日本語の話者である以上しょうがない。この音が聞こえる以上、聞くなというのは無理がある。前の記事で破裂する子音の「息の音」をノイズとしてではなく意識的に聞くことが重要だと書いた。「お」や「う」だと思っているのは、その「息の音」がそう聞こえているんだということを自分の耳で聞いて確かめることがまず重要なんだと思う。「息の音」にも色々な複雑な表情があるのである。息の音がわかったら、その息が側面解放されているかいないかが破裂型の無声子音の後の /l/, /r/ の大きな識別ポイントになる。息が強く出ているので違いがわかるのである。

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英語の曖昧母音は難しくてよくわからないので、発音したら自然にでてくる母音のことで、意識して発音するものではないと思っている。たとえば chocolate の発音を考えてみると、ストレスは最初にくるので、意識して母音として発音するのは最初の o のところだけである。二番目の o は発音しないので、まず、cl の子音の発音がくる。c の後に l がくるので、/k/ の破裂音は「側面解放」される。l の後に、続けて t を発音しようとすれば、舌が一瞬離れるので、一瞬曖昧な母音が出て、それはよく聴けば /i/ に似た音である。それだけのことなんだけどなあ。もっとずぼらな人は l の発音の舌を離さないでそのまま t にしてしまう人もいるかもしれない。