中1 の数学の最初は正負の数の計算の勉強から始まるのだが, いつも変なことを教えている気分がしてしまう.
たとえば, 割り算 (除法と呼ぶようになる) は逆数をとって掛け算 (乗法) にしてから計算すると教えるのだが, だったら引き算 (減法) の方も足し算 (加法) として計算できると教えるのが, 筋だろうと思う. 実際には逆で, 括弧を外してわざわざ引き算として計算するやり方を教える. たとえば,
で, 括弧の前に があれば を外すとかいうルールを覚えさせ山のように計算練習させるのだが, そんなルールが数学にあったのかとちょっと吃驚した. 真面目に授業を受けた覚えもないし, 記憶も定かではないが, 自分の感覚としては, 話は逆で,
のように, 負の数が導入されると引き算を足し算に直せると理解した気がする.
思うにこれは負の数を正の数に対応させて数直線で理解させようとしたからかもしれない. しかし, そもそもマイナスは,
のように に加えると になる数のことを と書くと定義したのが本来の数学だったという気がする. このことだけ理解できていれば は に加えると になる数のことだから に等しくなるに決まっていると思ってしまう. どうしても納得できないなら,
と証明してもよい. だから,
は, もう少し丁寧に
と説明した方が, 括弧の前にマイナスがあったら, を外して内側の符号を反転させると教えるよりも良い気がする. 異符号同士の足し算だって, 絶対値の大きい方から小さい方を引いて, その差に絶対値の大きい方の符号をつけるという説明は, たしかに昔 (確認した範囲では少なくとも昭和初期) からある説明だが, (こういうことだけ) 昔のやり方を踏襲するばかりでなく,
ぐらいは説明してもよいのにと思う. マイナスの仕組みが十分わかってから, といちいち書くのは面倒なので と書いてもよく, 小学校で習った引き算とは実はこの簡略化した方の表現だったと説明すればよいのである.