年の京大入試問題は, 文系と理系で出題内容が少し違っていることに気がつく. 最初の方が文系の問で, こちらは「重心」, 次は理系でこちらは「外心」である. どちらも同じようなものであり, まとめて考える.
【解】
四面体の各頂点から対面に下ろした 本の垂線はいつも一点で交るわけではない. しかし, この場合垂線は, 文系出題では四面体の重心, 理系出題では四面体の外心で交ることになる. 四面体の重心, 外心の存在はいままでの記事ですでに扱った. ここでは垂線の交点を
とする.
上の図で, は平面
に垂直,
は平面
に垂直であるから, 平面
と平面
の交線
は,
とも
とも垂直である. したがって
は平面
に垂直である. このことから,
と
は互いに垂直となる. 他の向かいあったねじれの位置にある辺の組も, 同様にして互いに垂直となる.
下の図で, から平面
に下ろした垂線の足を
とすると, 平面
と,
は垂直だから,
と
は垂直である.
と
も垂直であるから,
は
の垂心である.
の延長が,
と交る点を
とする.
文系出題では が重心でもあるので,
であることから,
である. 同様にして,
も証明できるので,
は正三角形である. 他の面についても同様なので, 四面体は正四面体である.
理系出題では が外心でもあるので,
であることから,
は
の垂直二等分線である. したがって,
である. 同様にして,
も証明できるので,
は正三角形である. 他の面についても同様なので, 四面体は正四面体である. なお, 理系の方の出題は外心に立てた垂線が頂点を通過するので,
であることを証明してもよい.
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※ 頂点から対する平面に下ろした垂線が一点で交わって, 四面体の垂心が存在する場合, この四面体を「直辺四面体」とか「直交四面体」ということがある (対辺はねじれの位置で交ることはないので, 後の方の名称には少なからずの違和感がある). 四面体に垂心が存在する場合, ここで証明したようにいずれの対辺も垂直である. 逆に四面体においていずれの対辺も垂直ならば, 垂心が存在することも証明できる. その概略の証明を直前の図を使って触れておけば以下のようになる. を
から
に下ろした垂線の足だとすると
は平面
と垂直なので, 平面
は,
を含む平面
とも平面
とも垂直である. そうすると
から平面
,
から平面
に下ろした垂線はともに, 平面
に含まれている. したがって二本の垂線は
の垂心で交る. なお, 対辺がみな垂直という条件は, 二組の対辺が垂直であれば, もう一組の対辺も垂直になるので緩められる. (これについては以前に述べた.)
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