年理系の問題だが, これも以前にやった証明をちょっと変えるだけである.
【問】
【解】
四面体 の重心を とし, , の重心をそれぞれ , とする. また, の中点を とする. と が相似であることから, と は平行で, である. したがって, と も相似であり, である.
下の図で, , , , はそれぞれ, 四面体 の辺 , , , の中点とする. 中点連結定理より, と は平行で, は の半分の長さである. 同様に と は平行で, は の半分の長さである. したがって, と は平行で長さが等しい. このことから, は同一平面にあって平行四辺形である. 平行四辺形の二つの対角線はそれぞれ他を二等分する. また, ねじれの位置にある 直線の角度とは, どちらか一方または両方の直線を平行移動させて交わらせたときの角度のことであるから, 与えられた条件より平行四辺形 は長方形である. したがって, 対角線の交点を とすると,
である. 同様にして, , をそれぞれ , の中点とすれば, も長方形であり, 対角線の交点は で,
となる. 以上より, と四面体の各辺の中点の距離はみな等しくなって, 四面体の各辺は を中心とするある球面上にある.
次に, が四面体の重心 と一致することを示す. 下の図で, 点 を三角形 の重心とし, の中点を とする. において, 中点連結定理により, と (したがって, ) は平行で, は の半分の長さである. だから, である. と の交点を とすれば, と は一辺とその両端の角がそれぞれ等しいことから合同である. したがって, で, は平行四辺形 (長方形) の対角線の交点 と同一である. また, でもあり, これから となって, は四面体の重心 と同一である. 以上より, は 四面体 の重心 と一致する.
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※ 問題の条件は, 「 組の対辺が互いに垂直」とあるが, 「 組の対辺が互いに垂直」でよい. 任意の四面体は平行六面体に埋め込むことができる. 四面体の対辺が垂直に交るということは, 平行六面体の面である平行四辺形の対角線が垂直に交わるものがあるということだから, その面は菱形になり辺の長さはみな同じになる. 組の対辺が互いに垂直であれば, 平行六面体の辺の長さはすべて等しくなるので, 結局平行六面体のすべての面がひし形になる. したがって残りの四面体の対辺も垂直である.
任意の四面体は平行六面体に埋め込みできることが分かっていれば, たとえば次のような問題はベクトルを持ちださなくてもすぐにわかることである.
【問】
四面体 において, のとき, が成り立つことを示せ.
【略解】
平行六面体に埋め込んで考える. 平行四辺形の対角線の平方の和は, 平行四辺形の各辺の平方和に等しい (同じことを中線定理ともいったりする) ので成り立つ.
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