ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

逆の証明 (三面角の存在条件)

3 面角についての定理を 2 つ前の記事で紹介した. 与えられた 3 つの平面角が 1 つの 3 面角を作るための必要条件については, 以前の旧制中学の学習雑誌の記事に証明が書いてあるが, ここでは十分条件であることの証明をあげておきたい. 高校数学でしばしば役にたたないと揶揄される「三垂線の定理」の練習問題のような証明となっている.

与えられた 3 つの平面角が 1 つの 3 面角を作るために必要十分な条件は, そのいずれの平面角も他の 2 つの和よりも小で, かつ 3 つの平面角の和が 2\pi よりも小であることである.

【十分条件であることの証明】

 3 つの平面角を  \alpha, \beta,  \gamma とし, そのうち, 最大のものを  \beta とする. 下の図のように, 点  O を中心とする任意半径の円周上に,  \angle FOD = \alpha,  \angle DOE = \beta,  \angle EOG= \gammaとなるように点  D, E,  G をとる.

 \alpha + \beta + \gamma < 2\pi

であるから,  G F を追い越すことはない.

F から直線  OD に垂線を下ろし, その足を  A, 円周とのもう一つの交点を D' とする. 同様に, 点 G から直線  OE に垂線を下ろし, その足を  B, 円周とのもう一つの交点を G' とする. そうすると中心角が等しいことから, 弧 DF と弧  DF' は等しい長さで, 弧 EG と弧  EG' は等しい長さである. また,  \angle DOE は最大角であるから,  F',  G' \angle DOE の内側にある. さらに, 与えられた条件より,

 \alpha + \gamma > \beta

だから, 弧 DF と弧 EG の長さの和は, 弧  DE の長さよりも大きい. したがって, 弧 DF' と弧 EG' の長さの和は, 弧  DE の長さよりも大きい. このことから, 直線  FF' と直線  GG' は円の内側で交わる. その交点を  H とする.

 H から円を含む平面に対して垂線を立てる.  H は円の内側にあるので,  BC = BG であるような点  C H に立てた垂線上にとれる.

 \triangle BOG \equiv \triangle BOC である. なぜなら, BG = BC, BO は共通の長さであり, 平面  CBH OB は垂直から \angle OBC = 90^\circ= \angle OBG となるからである.

さらに  \triangle AOC \equiv \triangle AOF である. なぜなら, 平面  CAH OA は垂直から \angle OAC = 90^\circ= \angle OAF と直角三角形であり,  \triangle BOG \equiv \triangle BOC から  OG =OC なので  OG = OF と斜辺の長さが等しく  OA が共通となるからである.

以上より,  \angle AOC= \alpha,  \angle AOB = \beta,  \angle BOC= \gamma となり, この三角面は与えられた条件を満たすものである.


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