計算の適用範囲を更にひろげるために, 前回の つの基本パターンをもう少し拡張しておこう. といっても大した話しではなく, 「二つの数字の和が
になる」の
の部分に
と
の場合も加えるだけである.
ただし, と
の場合は, 残り
つの同じ数字が偶数であることが必要である.
計算例を挙げておく.
合計が の場合は, 同じ数の
倍を加えればよい.
合計が の場合は, 同じ数の
倍を加えればよい.
この基本パターンをもとに修正していくやり方はまったく前と同じだが, 例外として同じ数が奇数になる場合については特別に与えておく必要がある. 以下に例を示す. 例を見ればどう修正するかはすぐにわかるだろう.
合計が の場合:
合計が の場合:
別の話題として, 暗算のコツのようなものは三つしかないと思う. ひとつは, 十の位, 百の位のどちらに数字をおくか間違えないように習熟することである. 次は, 補数を使って桁上がりによる数字の修正を極力減らすことである. 暗算は頭から行うことが原則だが, 一の位同士の乗算結果の十の位の数字と積和の十の位の数字を最後に足したために, そこ ( 十の位) で起きた桁上がりの影響が最悪, 百 , 千の位の数字の修正にまで及ぶような計算はいかにも拙いと思う. 積和の十の位の数字を負数で表しておけば, このような桁上がりは, 絶対に起きない. 極端にいえば, 積和の十の位の数字は常にマイナス数字で表すと決めてしまった方が記憶の負担を減らせる. 最後は補正の際, かける相手に注意することである.
一回で補正ができない場合は積和計算を従来通り行うか, 一回補正を行なって同じ数字の組を作ることが実用的だろう. あるいは, のような場合は, メモをとってよいのであれば,
のように補数に書き直してから計算する. これは,
と書くのが面倒なので とかくのである. 積和は,
と簡単に計算できるので,
とする. メモをとって補数表示を書いて良いなら, 簡単に計算できる対象はさらに拡がる.