前回の中学入試についての記事は, もちろん中国剰余定理が背景にあるわけだが, 同じようにして解ける高校数学の問題をやってみる. 以下の解法は参考書には挙げられていないので, 書く気になった. 参考書には, 合同式を使った解法が別解として挙げられていて, それは,
をいきなり解くやり方である.
※ なお, 連分数を使って解くやり方は以前の記事で示した。しかし, ユークリッド互助法を逆にたどるやり方を含めて, 右辺を としてまず解くやり方は, 前記事の問題のような場合, 出てきた結果を
倍するのだろうか. ちなみにこのやり方で
を実際に (かなりの時間をかけて) とくと, を整数として,
,
となり, 自然数の最小値は, のときで,
,
である. こういった方法で自然数解を求めることはよい方法とは言えない. //
【問】
次の方程式の整数解をすべて求めよ.
【解】
だから,
また,
を整数として,
とおくと,
これを満たす として
をとれば, 特解として
. 一般解は,
を整数として,
したがって, 特解は, で一般解は,
から
以上より,
,
で は整数である.
//
もうひとつやって見る.
【問】
次の方程式の整数解をすべて求めよ.
【解】
として,
また,
を整数として,
とおくと,
これを満たす として
をとれば, 特解として
. 一般解は,
を整数として,
したがって,
以上より,
,
で は整数である.
//
※ もっとも,
に気付くのなら, こちらの方がずっと早い.
前の記事の最初の問題も,
などとできれば, 直ちに解ける. やり方はいろいろあって,
からでも,
とできるし, 他にもうひとつだけ示せば,
としておいて, これから を左辺に加えて,
を作って, もうひとつ, つ前の式から,
を左辺から引いて,
両辺を 倍して,
として, 両式を加えて,
などとすればよい.//
※ なお, どうしても楽しい試行錯誤がしたくなければ,
を解くのに, オイラーのトーシェント関数の値を
と求め、オイラーの定理を適用すると、
だから, 求める は、
で, 後はひたすら右辺を簡単にしてゆけばよい.
※ より強くは、カーマイケルの定理を使って, と
の最小公倍数は
だから,
である。したがって,
とすればよい. 法の値と素な数の「位数」 (法のもとで初めて となる累乗の指数) は, 12 の約数のどれかとなる.
//
なんか凄そうだが, ユークリッド互除法を逆にたどって解くより早く結果が得られる.
法 では
の位数は,
である. したがって,
これから,
ただ, 試行錯誤よりは大幅に遅いと思う.
//