ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

九九について

最近改めて気がついたのだが、九九の七の段を頭の中で、たとえば「ヒチシニジュウハチ」と言っている。こんなところに西日本で教育を受けた痕跡がまだ残っていたのだと感動してしまった。七の段の九九が怪しい子が多いと感じるのは、もしかして「シチシニジュウハチ」などと唱えているからなのだろうか。「ヒチシニジュウハチ」と唱えた子は、その段がとりわけ覚えにくかったという記憶はない。(もっとも九九なんて覚えていなくても、2 倍することと、2 で割ることと 10 倍することの計算ができれば後は足し算、引き算で用は足りるが。)

九九は奈良時代からあるようだが、明治の途中までは「半九九」だった。2 x 8 を覚えて 8 x 2 を覚えない、あるいはその逆の 8 x 2 を覚えて 2 x 8 を覚えないやり方を「半九九」という。また両方覚える今の九九を「全九九」と言ったりする。これに関して前々から疑問なのは、計算ミスの発生率という観点から「半九九」のみで計算している人 (つまり 8 x 2 でもニハチと計算している人) と「全九九」で計算している人に有意な違いが出るかということである。

これはたとえば、こういうシチュエーションである。 87 x 6 を暗算で計算するのに、
全九九だったら、「ハチロクシジュウハチ」として 48 を計算し、「シ(ヒ)チロクシジュウニ」と 42 を計算し、42 のくりあがった十の位の 4 を 48 に足して52、最後に一の位の数字 2 をつけて 522 と結果を得るだろう (暗算して結果を書くまで 4 〜 5 秒ぐらい? )。一方「半九九」を使う場合には、常に小さい数字に大きい数字をかけるので、
「ロクハシジュウハチ」として 48 を計算し、「ロクシ(ヒ)チシジュウニ」と 42 を計算し、42 のくりあがった十の位の 4 を 48 に足して52、最後に一の位の数字 2 をつけて 522 と結果を得るということである。

なお、語感から言えば、「二八の娘盛り」「四六時中」のように成句となっているのは、小さい数の順にかける方である。