ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

陥没地帯 (301)

すでに触れた内容もあるが, 傍心に関する基本事項がややこしいので, まとめておく.

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三角形  ABC の頂点  B の外角 \angle EBC 2 等分線と頂点  C の外角  \angle FCB  2 等分線の交点を  I_1 とする.  I_1 から  BC に垂線を下ろし, その足を  D' とする. また,  I_1 から直線  AB,  AC に下ろしたそれぞれの垂線の足をあらためて,  E,  F とする.  \triangle BEI_1  \triangle BD'I_1 は合同,  \triangle CFI_1  \triangle CD'I_1 も合同で,  I_1E = I_1F= I_1D' である. したがって, \triangle AEI_1\triangle AFI_1 は合同となって,  \angle EAI_1 = \angle FAI_1 から,  AI_1 は,  ABC の内心  I を通る.  I_2,  I_3 についても同様のことがいえ,  I_1,  I_2,  I_33 点を  \triangle ABC の傍心と呼ぶ.

 \angle IBI_1 = \angle IBI_3 = 90^{\circ} だから,  I_1, B, I_3 は同一直線上にある. 同様に,  I_2,  A,  I_3 および  I_1,  C,  I_2 も同一直線上にある. また,  \triangle ABC の内心  I は,  \triangle I_1I_2I_3 の垂心でもある.

 \triangle I_1BC において,

 \displaystyle{\angle I_1BC = 90^{\circ} - \frac{1}{2}\angle B}
 \displaystyle{\angle I_1CB = 90^{\circ} - \frac{1}{2}\angle C}
 \displaystyle{\angle BI_1C = 90^{\circ} - \frac{1}{2}\angle A}

である. 同様に角を求めれば,  \triangle I_1BC,  \triangle AI_2C,  \triangle ABI_3 ,  \triangle I_1I_2I_3 は, 互いに相似であることがわかる. なお,

 \displaystyle{\angle BIC = 90^{\circ} + \frac{1}{2}\angle A}
 \displaystyle{\angle CIA = 90^{\circ} + \frac{1}{2}\angle B}
 \displaystyle{\angle AIB = 90^{\circ} + \frac{1}{2}\angle C}

である.

次に,  \triangle ABC の外心を  O とし, 外接円と  AI_1 の交点を  P とする. 円周角から

 \displaystyle{\angle PBC = \frac{1}{2}\angle A}

また

\displaystyle{\angle IBC = \frac{1}{2}\angle B}
\displaystyle{\angle BIP = \frac{1}{2}(\angle A+ \angle B)}

だから,  \triangle PBI は二等辺三角形である.  \triangle IBI_1 は直角三角形だから,  \triangle PBI_1 はまた二等辺三角形である.  II_1 I, B,  I_1, C を通る円の直径だが,  PI = PB = PI_1 から  P はその円の中心である. また,  P は,  \angle A の二等分線の上にあるから,  P は, 外接円の弧  BPC の中点でもある. 以上, 点  P についていえることは,  II_2 と外接円の交点,  II_3 と外接円の交点についてもいえる.

今度は, 外接円と  I_2I_3 との点  A 以外の交点を Q とする. 円周角から,

 \angle AQB = \angle C

また,

 \displaystyle{\angle QI_3B = 90^{\circ} - \frac{1}{2}\angle C}

だから,

 \displaystyle{\angle QBI_3 = 90^{\circ} - \frac{1}{2}\angle C}

となって,  \triangle QI_3B は二等辺三角形である. また,  \triangle I_3BI_2 は直角三角形だから,  \triangle QBI_2 も二等辺三角形である. したがって,  Q I_2I_3 の中点である.  B,  C,  I_2,  I_3 は同じ円の周上にあり,  I_2I_3 はその円の直径であるから,  Q はその円の中心である.  QB = QC から,  \triangle OBQ \triangle OCQ は合同であり, したがって  Q は, 外接円の弧  BQC の中点でもある. 以上, 点  Q についていえることは,  I_1I_2 と外接円の交点,  I_1I_3 と外接円の交点についてもいえる.

 P は外接円の弧  BPC の中点,  Q は外接円の弧  BQC の中点だったから,  PQ は外接円の直径で弦  BC と直交する. 外接円の半径を R とすれば,  OP = OQ = R である.  PQ BC の交点を  L とすれば,  L は,  BC の中点である.

傍接円  I_1,  I_2,  I_3 の半径をそれぞれ  r_1,  r_2,  r_3 とし,  I_2,  I_3 から  BC に下ろした垂線の足を  X,  Y とする. また, 内接円の半径を  r とし,  I から  BC に下ろした垂線の足を D とする.  I_2X \parallel QL \parallel I_3Y で,  Q は,  I_2I_3 の中点であったから,

 I_2X + I_3Y = 2\cdot QL
 r_2 + r_3 =  2\cdot QL

である. また,  P は,  II_1 の中点で,  ID \parallel PL \parallel I_1D' だから,

 2(PL + ID) = I_1D' + ID
 I_1D'- ID = 2\cdot PL
 r_1 - r = 2 \cdot PL

これから,

 r_1 + r_2 + r_3 - r = 2(PL+ QL) = 4R

である. つまり,

 r_1 + r_2 + r_3 = r + 4R

である.

 O から,  AB,  AC に下ろした垂線の足を  M,  N とし, 垂線の長さ  OL,  OM,  ON を垂線が三角形の側にあるときは正, 反対側にあるときは負となるようにとると,

 r_2 + r_3 = 2 \cdot QL = 2(R + OL)

から,

 2\cdot OL = r_2 + r_3 - 2R

で, 同様の関係になるよう作り変えた図を想像して,

 2\cdot OM = r_1 + r_3 - 2R
 2\cdot ON = r_1 + r_2 - 2R

したがって,

 2(OL + OM + ON)
\\= 2(r_1 + r_2 + r_3) -6R
\\=2(r + 4R) -6R
\\= 2(r + R)

つまり,

 OL + OM + ON = r + R

 OL = R\cos A, OM = R \cos C,  ON = R \cos B だから,

 \displaystyle{\cos A + \cos B + \cos C = 1 + \frac{r}{R}}

である.


 \triangle QBP \triangle AI_1F は相似で,  I_1P = PB だから,

 AI_1:QP = I_1F: PB
 AI_1:2R = r_1: I_1P

 AI_1 \cdot I_1P = 2Rr_1

である. (  AI \ \cdot IP =  2Rr であった.) 方べきの定理から,  AI_1 \cdot I_1P = OI_1^2 - R^2 なので,  OI_1^2 = R ^2 + 2Rr_1 である.


傍接円 I_1 について,

 \displaystyle{\begin{align} 
2s &= AB + BC + CA 
\\  &= AB + (BD' + D'C )+ CA 
\\ &= (AB + BD') + (AC + D'C) 
\\ &= (AB + BE) + (AC + CF) 
\\ &= AE + AF
\end{align}}

となり,  AF = AE だから,

 AE = AF = s となる.

 \triangle ABC の面積を  S とすれば,

 S =  sr

であるが,

 \begin{eqnarray}
S  &=& \triangle ABI_1 + \triangle ACI_1 - \triangle I_1BC
\\&=& \frac{r_1}{2}(s-BD' + s - D'C  - BC)
\\&=& r_1(s-a)
\end{eqnarray}

同様にして,

 \begin{align}
S &=  sr 
\\ &= (s-a)r_1 
\\ &= (s-b)r_2 
\\ &= (s-c)r_3
\end{align}

となり,

 \begin{align}
S^4 &= s(s-a)(s-b)(s-c) rr_1r_2r_3
\\ &= S^2r r_1r_2r_3\end{align}

つまり

 S = \sqrt{rr_1r_2r_3}

である. また,

 \displaystyle{\frac{1}{r_1} + \frac{1}{r_2} +  \frac{1}{r_3} \\
= \frac{s-a}{sr} + \frac{s-b}{sr} +  \frac{s-c}{sr}\\=\frac{1}{r}}

である. (これは, ルーリエの定理と呼ばれる.)

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傍接円の各辺またはその延長上の接点  D', E, F と, それぞれの辺と対する  \triangle ABC の各頂点を結ぶ三つの直線は, 1 G で交わることがチェバの定理の逆を使ってわかる.

 \begin{align} \frac{BD'}{D'C}\cdot \frac{CF}{FA}\cdot \frac{AE}{EB} &= \frac{s-c}{s-b}\cdot \frac{s-b}{s}\cdot \frac{s}{s-c} \\&= 1  \end{align}


下図において,  3 つの傍接円が,  BC,  CA,  AB と接する点を  S, T,  U とすれば,

 \begin{align} \frac{AU}{UB}\cdot \frac{BS}{SC}\cdot \frac{CT}{TA} &= \frac{s-b}{s-a}\cdot \frac{s-c}{s-b}\cdot \frac{s-a}{s-c} \\&= 1  \end{align}

だから,  AS,  BT,  CU は一点で交わる. この交点をナーゲル点という. なお, 内接円と各辺の接点と頂点を結んだ線も一点で交わることが同様に示せるが, こちらの交点は, ジェルゴンヌ点という.

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