条件付き確率の有名問題をいくつか, 簡単に確認して条件付き確率に関する記事はいったん終えよう. 最初は, モンティ・ホール問題. すでによく知られた問題をさらにあれこれと詮索する趣味はないので, 得られる結果のみ書く. その他の問題も, みな同じやり方で解が求まるので, 途中の計算は一部省略する.
【問 】
つの扉がある. つの扉の背後には景品があり, 残り つはハズレの扉である. 扉の向こうに何があるかわからない回答者が, 景品のある扉を当てるとその景品がもらえ, ハズレだと何ももらえない. 回答者が扉をひとつ選択した後, どの扉に景品があるのか知っている司会者が, 回答者が選択しなかった残り つの扉のうち, ハズレのものを つ開けた後, こう言う.
「あなたは自分で選んだ扉を残っているもう一つの開けられていない扉と交換し
てもよい」
回答者はここで, 扉を交換すべきだろうか.
【解】
つの扉をそれぞれ , , とし, 回答者は の扉を選択し, 司会者は扉 を開いたとする.
扉 に景品がある.
扉 に景品がある.
扉 に景品がある.
司会者が扉 を開いた.
と記号をつけておくことにする.
最初に扉を選択する際, 景品の所在について情報をもたない回答者が得る確率を,
とするのは妥当であろう.
景品が扉 の向こうにある場合, 司会者は, 扉 と扉 を開ける つの選択肢があるのだから,
である (つまり残った つの扉をランダムに開くのと結果は変わらない).
景品が扉 の向こうにある場合, 司会者は, 扉 を開けることはあり得ない. したがって,
景品が扉 の向こうにある場合, 司会者は, 必ず 扉 を開ける. つまり,
である. この時点で, 司会者が扉 を開けたという事実をもっとも説明できるのは, 扉 の向こうに景品がある場合だとわかる.
であるが, ここで,
なので,
である. つまり,
なので, 事象 と事象 は独立である. 一方, 事象 と事象 は排反である (もちろん独立ではない). また, 事象 と事象 は独立ではなく, がおきたとき, 扉 に景品がある確率は 倍になる. //
【問 】
ちょうど 人の子供がいる家庭を考える. この家庭に男の子がいることがわかっているとして, もう 人の子供も男の子である確率はいくらか. ただし, 人 の子供が (男, 男), (男, 女), (女, 男), (女, 女)である確率は各々 であるとする.
【解】
求める条件付き確率は, 明らかに である.
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【問 】
子供が 人いることがわかっている家庭を訪問したところ男の子が顔を出したとして, もう 人も男の子である確率はいくらか.
【解】
(男, 男)
(男, 女)
(女, 男)
(女, 女)
とし,
とする.
“男の子が顔を出した” 事象を とすると,
したがって,
//
【問 】
ジョーカーを除いたトランプ 枚の中から 枚のカードを抜き出し, 表を見ないで箱の中にしまった. そして, 残りのカードをよく切ってから 枚抜き出したところ, 枚ともがダイヤであった. このとき, 箱の中のカードがダイヤである確率はいくらか.
【解】
箱の中にしまったカードがダイヤ
箱の中にしまったカードはダイヤではない
抜きだしたカードが 枚ともダイヤ
,
したがって,
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