ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

陥没地帯 (275)

疲れたので, とても簡単な問題にする. 2010 年の京大, 文理共通問題. 「知恵の輪熊」を読んで癒される.

「知恵の輪熊」の可愛らしさは誰にもわかるまい|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

【問】
1 から 5 までの自然数を 1 列に並べる. どの並べかたも同様の確からしさで起こる ものとする. このとき 1 番目と2 番目と3 番目の数の和と, 3 番目と4 番目と5 番 目の数の和が等しくなる確率を求めよ. ただし, 各並べかたにおいて, それぞれ の数字は重複なく1 度ずつ用いるものとする.

【解】
※ この問題は簡単なので, 紛れようがないが, 順番を区別する場合にはリスト表示 () で, 順番を区別しない場合は, 集合表示  \{\} で書くとよいときがある. たとえば,  1 から 4 までの番号がついた 4 つのボールを 2 つに分配する場合には次のような例は, みな違った数え方をしないといけない. 写像 12 相 (英語の “the Twelvefold Way” は, 仏教の「八正道」の英訳をヒントに命名されたらしい) も, 全部のパターンを分類しきれているわけではないことに注意が必要である.

 ( (3,1), (2,4) ), ( \{2,4\}, \{1,3\}),
\{ (2,4), (3,1) \}, \{ \{1,3\}, \{2,4\} \}
//

一列に並べた自然数を  (n_1, n_2, \cdots, n_5) と書くと,

 n_1 + n_2 + n_3 = n_3 + n_4 + n_5

から, 両辺に  n_4 + n_5 を足して,

 2(n_4+n_5) + n_3 = 15 (★)

なので,  n_3 は奇数である.

 n_3 = 1 のとき:

★から,

 n_1 + n_2 = n_4+ n_5 = 7

で, 可能な分割は,

 7 = 2 + 5
 7 = 3 + 4

となり, \{ \{2, 5\},\{3, 4\} \} である. これひとつについて, ( (n_1, n_2),(n_4, n_5) ) の配置は  (2!)^3 = 8 通りある.

 n_3 = 3 のとき:

★から,

 n_1 + n_2 = n_4+ n_5 = 6

で, 可能な分割は,

 6 = 1 + 5
 6 = 2 + 4

となり, \{ \{1, 5\},\{2, 4\} \} である. これひとつについて, ( (n_1, n_2),(n_4, n_5) ) の配置は  (2!)^3 = 8 通りある.

 n_3 = 5 のとき:
★から,

 n_1 + n_2 = n_4+ n_5 = 5

で, 可能な分割は,

 5= 1 + 4
 5 = 2 + 3

となり, \{ \{1, 4\},\{2, 3\} \} である. これひとつについて, ( (n_1, n_2),(n_4, n_5) ) の配置は  (2!)^3 = 8 通りある.

以上より, 求める確率は,

 \displaystyle{ \frac{8 + 8 + 8}{5!} =\frac{1}{5}}

である.
//