年の東大理科の問題. これも記事 同様, 問 の不等式を問 でどう使うのかという問題. ただ, の不等式よりは, まだ人間的というか, 類推できる形をしていると思う.
問 では, の正負で場合分けしたくないがために ではなく, をかけたのが大失敗で, 階微分まで計算し, やっと が消えたと思ったら, そこに有理数の範囲で因数分解できない 次式が残り, さらにこの 次式がどんな素性のものかまで検討する羽目になった. 教訓として, の前にかかる の多項式の次数をひとつでも減らしてなるべく簡単な形にするのがこの場合の最優先で, の正負による場合分けのコストなどものの内に入らないということである. やり直す気がしないので, 答えはそのまま記載する. それでもなんとか計算できたのは, ひとえにファインマンの微分の技法 *1 のお蔭だなあ.
【問】
実数 が , をみたすとき, 次の不等式を示せ.
次の不等式を示せ.
【解】
問の不等式を示すには,
を示せばよい. さらに (論理的には正しいが, 効率上は大きく間違っている方針として), 両辺に をかけて,
を証明する.
とおいて,
さらに, ( が消えてくれないので)
ここで, 詳細は省略するが, 上式分母の 次式を とすると, は実数解を つだけもち, なので, では, である. したがって, で, , , で, である.
このことと, から, で, である. そうすると, は単調増加であり, なので, で, , で, となる. なので, 問の不等式が示せた.
//
の不等式から,
となり, とすれば,
が成立する. さらに, の不等式の両辺に,
をかけると,
となるが, として,
となる.
//
※ のグラフ
のグラフ
のグラフ
のグラフ
*1: 陥没地帯 (166) - ノリの悪い日記 参照. また, Feynmanの微分の方法 が参考になるかもしれない. このもとになっている対数微分法とは, が であることを利用して, と計算するやり方のことである. もっと端的にいえば, を で微分すればよい.