ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

陥没地帯 (242)

単なる連立方程式の問題. いきなり解を求めるのではなく, 同次式にしてまず比例式 (連比) を求めるというのは, ありがちである. 比例式が求まってしまえば, あとは定石通り. ちなみに超初歩的だが,  A= B=C A=B かつ  B = C かつ  C = A と同値だが, たとえば,  A=B B = C があれば,  C =A は自動的に出てくるので,  3 つは過剰な条件なのである. 不等式の  A < B < C とき, なぜ  A < B かつ  B < C でよいのかも同じように考えればよい.

【問】
 a,  b,  c は相異なる実数とする.

\begin{eqnarray} bx + cy + az &=& cx + ay + bz \\&=& a^2+b^2+c^2\\
x+y+z &=& a+b+c
\end{eqnarray}

を,  x,  y,  z について解け.

【解】
 b(x-b) + c(y-c) + a(z-a) =0
 (x-b) + (y-c) + (z-a) = 0

これから,  x-b,  y-c をひとつの変数とみて,  21 次連立方程式を解き, 結果を比例式の形にする *1.

 \displaystyle{
\frac{x-b}{c-a} = \frac{y-c}{a-b}= \frac{z-a}{b-c} = k}

とおいて,

 \begin{eqnarray}
x &=& k(c-a) + b\\
y &=& k(a-b) + c\\
z &=& k(b-c) + a
\end{eqnarray}

を得る. これから

 \displaystyle{
 cx + ay + bz 
\\= k\{c(c-a) + a(a-b) + c(b-c)\} \\
\quad +bc +ca + ab\\
\\=k(a^2+b^2+ c^2 -ab -bc -ca)\\
\quad +bc +ca + ab\\
\\=a^2+b^2+c^2
}

つまり,

 \displaystyle {
 k(a^2+b^2+ c^2 -ab -bc -ca)
\\=a^2+b^2+c^2-ab-bc -ca}

 a,  b,  c は相異なる実数なので,

 \displaystyle{a^2 + b^2 + c^2 -ab-bc-ca
\\=\frac{1}{2}\{(a-b)^2 + (b-c)^2 + (c-a)^2\} >0}

したがって,  k = 1 となる. よって,

 \begin{eqnarray}
x &=& b+ c-a\\
y &=& a+c -b\\
z &=& a+ b-c
\end{eqnarray}
//

もう一題は, 単なる因数分解の問題.

【問】

 (x+2)(x+3)(x+4)(x+6)-30x^2

を因数分解せよ. (回答欄を見ると、係数の穴埋めになっていて、上の式は有理数の範囲で、1 次式 2 つと  2 次式  1 つに分解することになっている.)

【解】

 (x+2)(x+3)(x+4)(x+6)-30x^2
\\= (x+2)(x+3)(x+4)(x+5+1)-30x^2
\\=(x^2+7x+10)(x^2+7x+12)
\\ \quad + (x+2)(x^2+7x+12) -30x^2
\\=(x^2+7x)^2+(x+24)(x^2+7x)
\\ \quad -30x^2 +12x+144
\\=(x^2+7x)^2+(x+24)(x^2+7x)
\\ \quad + (6x+12)(-5x+12)
\\=(x^2+13x+12)(x^2+2x+12)
\\=(x+1)(x+12)(x^2+2x+12)
//

さらにもう一題は, 単に円の方程式を求める問題.

【問】
 3 A(8,5),  B(1,-2),  C(9,2) を通る円の方程式を求めよ.

【解】
円束の方法 *2 より求める. 点  A,  B を直径の両端とする円の方程式は, 直径の円周角が 90^{\circ} であることから, 内積を使って,

 (x-8)(x-1)+(y-5)(y+2) = 0

である. 根軸となる直線  AB の方程式は,

 y = 1\cdot (x-1)-2
 x-y-3=0

である. したがって

 (x-8)(x-1)+(y-5)(y+2) \\
\quad + k(x-y-3)= 0

とおいて, 点  C の座標を代入すれば,

 8 -12 +4k =0 から,  k =1.

したがって, 求める円の方程式は,

 x^2 + y ^2 -8x -4y -5 =0
 (x-4)^2 + (y-2) ^2 =5^2

である.

f:id:noriharu-katakura:20211004154442j:plain
//

*1:クラーメルの公式を使って少し考察すれば, この計算は簡単に公式化できることがわかる.

*2:記事 (201) 参照