ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

陥没地帯 (213)

Overleaf を使わせてもらって, テキストを作るのに忙しかったのでブログは暫くお休みしていた.

記事 (188) を書いてから, その後を書いていなかった. 記事 (188) では以下の証明まで終わっている.

 \triangle ABC の内心を  I とする. また  \triangle ABC の外接円の半径を  R, 内接円の半径を  r とする.  AI の延長が, 外接円の周と交わる点を  D とすれば,

 AI \cdot ID= 2Rr

である.

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外心を  O とすると, 方べきの定理から,

\begin{eqnarray}
              OI^2 - R^2 &=& -AI \cdot ID\\
                                   &=& -2Rr
         \end{eqnarray}

となって, いわゆるオイラー・チャップルの定理が得られる.

オイラー・チャップルの定理から,  R \geq 2r が成りたつこともすぐにわかる. 等号が成立するのは,  OI = 0 のとき, すなわち三角形が正三角形となるときである. もっとも, この不等関係は, 前の記事から,  9 点円とは, 三角形の各辺の中点を結んだ三角形の外接円で, その半径は,  R/2 だったことからすでにわかっていたことである. つまり, もとの三角形の 3 辺と交わる円は, 明らかに内接円の半径より大きいので,  R \geq 2r である.

ポンスレの閉形定理は以下のようになる.

2 O,  I があるとき, 円  O に内接し, 円  I に外接する三角形が 1 つあれば, このような三角形は無数にある.

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 O の周上の任意の点を  A' とする. 直線  A'I が円  O の周と交わるもうひとつの点を  M とする.  M を中心として, 半径  MI の円が, 円  O の周と交わる点を  B',  C' とする.

 A'M は明らかに  \angle A'2 等分線である.

 \begin{eqnarray}
             \angle A'B'C' &=& \angle A'MC\\
                                    &=&  2\angle IB'C'
         \end{eqnarray}

だから,  IB' \angle B2 等分線である.

したがって,  I は,  \triangle A'B'C' の内心でもある.  \triangle A'B'C' の内接円の半径を  r' とすると, オイラー・チャップルの定理から,

 \displaystyle{OI^2 = R^2 - 2Rr'}

となるが,

 \displaystyle{OI^2 = R^2 - 2Rr}

でもあるので, 結局,

 r' = r

である.  A' は円  O の円周上の任意の点であるから, このような三角形は無数にある. //