せっかくの機会なので, 前の記事の松山市伊佐爾波神社へ, 明治 (酉) 年、当時
歳だった高阪金次郎が奉納した算額を計算してみることにする. 作図のために, 途中までの計算はやったので, 後はなんとかなるだろう.
解答の中で の値が必要になるので先に求めておく.
上の図で, 三角形の内角の 等分線は、対辺を他の
辺の比に内分するから,
,
,
とすれば,
なので,
である.
さて, 問題は, 図のような中心角 の扇形で, 下側の
番目に小さい
つの円の半径が与えられたとき, 上側の一番小さい
つの円の半径を求めよというものである.
つまり, 円 の半径
を使って 円
の半径
を表せ, という問題である.
とおくことにする. 注意として円
は直線
に接しているのであって, 円
には接していない.
まず,
を使って, 直角三角形 で,
から, ピタゴラスの定理により,
である. 代入して, 式を整理すると,
となり, これを解くと,
であるが, 解として適するのは,
である.
円 の半径
はすぐにわかる. 円
の半径
は,
に注目して, やはりピタゴラスの定理から,
で,
を代入, 和と差の公式を使って,
となる. 作図で欲しかったのは, の長さで,
から,
となり, 円 が
と接する位置は,
の中点である. これがわかれば, 円
はたとえば以下のように簡単に作図できる. (作図のときの計算は円
を描くときの予想を確認するためだけのもので, これ以上の計算はしなかった.)
円 の半径を
とする.
,
もわからないので,
,
とおく. すると
つ関係式がいる.
つ目は,
から,
で, ピタゴラスの定理から,
となる. つ目は、
から,
となり, この 式から,
がわかる. 最後に について,
であるが,
と を消去しておいて, ピタゴラスの定理を使って, 式を整理していくと,
となり, これから, (計算力がないので)
まず を消すと,
となる. 続けて を消すと,
となる. この両辺を 乗して整理すると,
が得られる. 後は, これを解いて, 適する方の解 (もう一つの解は, ,
,
などとなって不適) をとると,
である. よって, 最初に求めた の結果,
を使って,
となる.//
※ 算額にある答は,
と読めるが, 上の解答と同じである.