数 で, 与えられた交わる
円の交点ともう一点, (同一直線上にはない) 別の点を通る円の方程式を求める問題で, 「円束」*1 を使って解くやり方があるが, それがなぜ円の方程式になるかという大変良い質問をされて, 計算する羽目になった. これは, 初等幾何的にいえば, 与えられた
円の方べきの比が与えられた比に等しい点の軌跡 *2 は, 一般に与えられた
円と共軸 *3 な円になることを示すことと同じである (ただし, 方べきが
となる
円の交点を除く). ここで方べきといっているのは, (単なる復習であるが) 半径
の円の中心
と与えられた点
について,
のことで, 点
が円の内部, 周上, 外部にある場合に, それぞれ負, 零, 正の値をとるものである (なぜ, 方べきがこの定義でよいのかは, 下図をみて少し考えればわかることなので, 省略する).
方べきを式で書けば, に対して
に他ならない.
それで, 円の方べきをそれぞれ
,
とし, それが与えられた比 に等しいとして泣く泣く計算した. あっている自信はないが,
を整理すると
となった. ただし, は
つの円の中心間距離で
である. それで, 円が
点で交わっている場合に
つ前の式の右辺が常に正であることを証明する必要がある.
として, 右辺を について整理すると
となった. 判別式をとると
となる. つの円の位置関係は, 三角不等式から
を満たすので, である. したがって右辺は常に正である*4.本当に良い質問だなあ.//
※ よく考えると, 下の図から
なので,
から, すぐにわかるのだった.//
*1:「共軸円系」とか「円群」とかと呼ばれることもある
*2:ある条件 を満足する点の軌跡とは, その条件を満たす点全部の集合のことをいう. 軌跡が図形
であることをいうには, 次の
つの証明をする.
条件
に適する点は, 図形
上にある.
図形
上の点は条件
を満足する.
*3:交わる 円の交点を通る直線は「根軸」と呼ばれる.「根軸」は後の説明から容易に推定できるように, 同心円でない
円の方べきが等しい (交点を除いて方べきの比が
となる) 点の軌跡のことであり,
円が異なる
点で交わる場合には, 根軸はその交点を通る直線と一致する. くれぐれも交わらない
円の交点を通る直線を求めないように!
つの円が外にある場合の根軸を下図の赤色の線で示しておく. 根軸は方べきが等しくなる共通接線の中点を通る直線である. なお,
つの円に直交するすべての円が通過する
つの共通点 (
つの円の中心を結ぶ線上にある) は, 「限点」と呼ばれる.
*4: 円が内接または外接している場合には,
となり、
つの円が他の円の内部または外部にある場合は
となる. したがって, 右辺が
になって軌跡が
点になる場合, または右辺が負になって軌跡が存在しない (虚円となる) 場合が存在する. 円が外接している場合に, 軌跡が
点になる条件は半径の比に内分する場合で, 軌跡は
つの円の接点である. 円が内接している場合に, 軌跡が
点になる条件は半径の比に外分する場合で, 軌跡は
つの円の接点である.