ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

陥没地帯 (199)

図形ばかり続いたので, たまには, 整数をやる. 京大の2010年.

【問】

次の問に答えよ.

(1) n を正の整数, a = 2^n とする.  3^a - 1 は, 2^{n+2} で割り切れるが,  2^{n+3} では割り切れないことを示せ.

(2) m を正の偶数とする.  3^m - 1  2^m で割り切れるならば m = 2 または,  m = 4 であることを示せ.

【解】

(1) は, 数学的帰納法で証明する.

 n = 1 のとき,  3^2 - 1 = 8 だが,  2^{1+2} = 8 で割り切れるが,  2^{1+3} = 16 ではわりきれないので成立する.

 n = k で成立するとする.  n = k + 1 のとき,

 \displaystyle{\begin{align} 3^{2^{k+1}}- 1 &= (3^{2^k})^2 - 1\\
&= (3^{2^k} - 1)(3^{2^k} +1)\end{align}}

帰納法の仮定から,  3^{2^k} - 1 は,  2^{k+2} では割り切れるが,  2^{k+3} では割り切れない.

一方,

 \displaystyle{3^{2^k} + 1 \\ \equiv (-1)^{2^k} + 1 \equiv 1 + 1 \equiv 2 \ \ (\rm{mod} \ 4)}

だから,  3^{2^{k}} + 1 は偶数であるものの  4 では割り切れない. つまり,  3^{2^{k+1}} - 1 は,  2^{(k+1)+2} では割り切れるが,  2^{(k+1)+3} では割り切れない. よって  n = k + 1 についても成立するので, 題意は証明された.

(2)  n を正の整数,  d を正の奇数として,

 m = 2^nd

とおく.

 3^m - 1 \\
= (3^{2^n})^d  - 1\\
= (3^{2^n} -1)\{(3^{2^n})^{d-1} + \cdots + 3^{2^n} +1 \}

ここで,

 (3^{2^n})^{d-1} + \cdots + 3^{2^n} +1 \equiv 1 \ \ (\rm{mod} \ 2)
(左辺の項の数は  d 個)

なので, 3^m -1 の素因数 2 は, すべて  3^{2^n}- 1 に存在する. 問 (1) の結果を言いかえれば,  3^{2^n}- 1 の素因数  2 の指数は,  n + 2 である.

ところが, 問 (2) の仮設より,  3^{2^nd}- 1 は,  2^{2^nd} で割りきることができるので,

 2^nd \leq n + 2

でなければならない.

 2^n \leq n + 2

を満たすのは,  n =1,2 のときだけである.  n = 1 のとき,  2d \leq 3 を満たすのは,  d = 1 で,  n = 2 のとき,  4d \leq 4 を満たすのも  d = 1 だけである. これから,  m 2 または  4 であることが言えた.//