【問】
絵具を使って正四面体の各面に色を塗る方法について, 次の問に答えよ. ただし, 正四面体を回転させて一致する塗り方は同じとみなす. また, すべての面に同じ色を塗る方法を含める.
色の絵具のセットから絵具を選んで色を塗る方法は何通りあるか.
色の絵具のセットから絵具を選んで色を塗る方法は何通りあるか.
色の絵具のセットから絵具を選んで色を塗る方法は何通りあるか.
色の絵具のセットから絵具を選んで色を塗る方法は何通りあるか.
【解】
面倒臭い問題なのでまとめて面倒みる.
色のどれかの色を一つ使って各面を塗るとする. 回転により立体を不変にする変換を, 正四面体の頂点を
,
,
,
として, 回転による頂点の置換として表せば,
(恒等置換), つまりなにも回転しない場合の面の塗り方の総数は
,
正四面体の重心と頂点を通る直線 ( 本ある) を回転軸とした回転を考えたとき, 正四面体を不変とする
,
の回転に相当する頂点の置換を巡回置換で書けば.
,
,
,
,
,
,
,
であり, これらの変換で不変な面の塗り方の総数は, である.
正四面体の重心と辺の中点を通る直線 ( 本ある) を軸とした回転を考えたとき, 正四面体を不変とする
の回転 (下図参照) に相当する頂点の置換を巡回置換 (互換) で書けば,
,
,
であり, これらの変換で不変な面の塗り方の総数は, である. (なお、正四面体の場合については, 重心と面の重心を通る直線は, 重心と頂点を通る直線に一致するので, 回転軸として別に考えなくてもよい. 一般の正多面体では、正多面体を不変にする回転で, 正多面体の重心の位置も不変なので, 回転軸は必ず正多面体の重心を通る. 回転軸が立体と交わるのはその頂点か, 辺か, 面のいずれかである. 辺の場合は辺の中点, 面の場合は面の重心でないと回転でそれらの位置が動いてしまう. したがって, 回転軸が, 立体の重心と頂点, 辺の中点, 面の重心をそれぞれ通る場合について順に考察すればよい.)
置換の総数 (正四面体群の位数) は である. バーンサイドの補題より, 塗り方の総数
は,
//
※ 正四面体群の位数がいくつであるかは簡単な問題である. 正四面体 の頂点
を考えると, その行き先は
,
,
,
の
通りある.
の行き先が決まってしまうと,
に隣接する頂点
の行き先は
通りしかない.
,
が決まると, 他の頂点はみな決まってしまう. したがって正四面体群の位数は
である. 同様にして, 正六面体群の位数は,
, 正八面体は
, 正
面体は頂点が
個あるので
, 正
面体は頂点が
個あるので
である.//
※ 同じ 色を使って面を塗る問題を正六面体でやってみる. 正六面体面体の頂点を
,
,
,
,
,
,
,
として, 回転により立体を不変にする場合の頂点の置換を考えると,
(恒等置換) で不変となる面の塗り方の総数は
,
正六面体の重心と頂点を通る直線 ( 本ある) を回転軸とした回転を考えたとき, 正六面体を不変とする
,
の回転に相当する頂点の置換を巡回置換で書けば,
であり, これらの変換で不変な面の塗り方の総数は, である.
正六面体の重心と辺の中点を通る直線 ( 本ある) を軸とした
の回転を考えたとき, 正六面体を不変とする
に相当する頂点の置換を巡回置換 (互換) で書けば,
であり, これらの変換で不変な面の塗り方の総数は、 である.
向かい合う面の中心を通る軸 ( 本ある) の周りの回転は,
,
の
の 通りと,
の
の 通りである.
バーンサイドの補題より, 塗り方の総数 は,
となる.//
※ 面に番号をつけて, 面の置換で回転対称変換がすらすら書けるようになれば, しめたものである.
正四面体の場合は, まず,恒等変換は
だから
通り(輪構造式は
, 以下括弧内は輪構造式を表わす).
重心と頂点を結ぶ軸の周りの回転について,
,
,
,
,
,
,
,
だから 通り(
).
重心と辺の中点を結ぶ軸の周りの回転について,
,
,
だから 通り(
).
バーンサイドの補題より, 塗り方の総数 は
となる (ポリアの定理で, としたものに相当する).
正六面体の場合には, 恒等変換は,
だから,
通り(
).
重心と頂点を通る軸の周りの回転について,
,
,
,
,
,
,
,
の 通り(
).
重心と辺の中点を通る軸の周りの回転について,
,
,
,
,
,
の 通り(
).
重心と面の重心を通る軸の周りの回転について、
,
,
,
,
,
,
,
,
だから 通り(
).
バーンサイドの補題より, 塗り方の総数 は,
となる (ポリアの定理で, としたものに相当する).//
※ 類題.
【問】立方体の各面に, 隣あった面の色は異なるように, 色を塗りたい. ただし, 立方体を回転させて一致する塗り方は同じとみなす.
異なる
色をすべて使って塗る方法は何通りあるか.
異なる
色をすべて使って塗る方法は何通りあるか.
【解】
異なる
色すべて使って不変にできるのは, 恒等変換の場合だけである. 塗り方の総数は
なので, バーンサイドの補題より
通り.
異なる
色すべて使って不変にできるのは, 恒等変換の場合だけである. 隣あった面は異なる色なので, 同色は向かい合う面 (
組ある) に配置する必要がある. したがって,
通り.
//
【問】
正四面体の各面に色を塗りたい. ただし, 正四面体を回転させて一致する塗り方は同じとみなす.
異なる
色すべてを使って塗る方法は何通りあるか.
異なる
色すべてを使って塗る方法は何通りあるか. また,
色のうち使わない色があってもよいとすると, 塗り方は何通りあるか.
【解】
異なる
色すべて使って不変にできるのは, 恒等変換の場合だけである. 塗り方の総数は
なので, バーンサイドの補題より,
通り.
異なる
色すべて使って不変にできるのは, 恒等変換の場合だけである. 重複する色の選択は
通りなので, 塗り方の総数は,
通りである. バーンサイドの補題より
通り. 使わない色があってよい場合は, この記事の最初の問から 通り.//
補足: ポリアの定理にしたがって, 正四面体群の輪指標
を使って, 色で塗る場合には,
とおいて, 以下のような数え上げの母関数となる多項式を作る.
この多項式の項 ,
,
の前の係数を確認すると, それぞれ
なので, 異なる 色すべてを使って正四面体の面を塗る方法は, 計
通りである.//